東京オリンピック(五輪)サッカー女子米国代表のFWアレックス・モーガン(31)が、新型コロナウイルスの感染防止対策として1歳になる娘を東京に同行させられないことに「女性アスリートの乳幼児には適用されるべきではない」と抗議している。

日本政府、東京都、大会組織委員会が海外からの観客受け入れを見送る方針を決めたことで、選手は家族を同伴することができなくなり、モーガンをはじめ何人かの幼い子供がいる女子選手は、五輪出場の夢を選ぶか家族を優先するかの選択を迫られていると米USAトゥデイ紙が報じた。

昨年5月に長女チャーリーちゃんを出産したばかりのモーガンは、昨年末までプレーしたイングランドのトッテナムでも代表試合でも、この1年間は国内外問わず遠征先には必ず娘を連れて行っていたといい、「母親として、常に支えられていると感じることはとても重要なこと。これから東京五輪に向けて、そして東京でもその気持ちを持ち続けたい」と子供を持つ母親としての心境を告白。「母親が競技中に子供と一緒にいられる選択肢を持てることは重要」と語り、女子選手が自分の幼い子供を東京に連れていくことが特例として認められない場合は「どうしていいか分からない」と出場辞退も示唆している。

また、2歳の娘がいる陸上女子短距離代表のアリソン・フェリックス(35)も、「私は母乳で育てているので特にこの問題には敏感」とコメント。「娘がまだ1歳になる前に大会に出た時は、子供の近くにいる必要があることを実感した。今大会でもそういう母親について考慮する必要がある」と、母親が子供と一緒にいることの重要性を訴えている。

女子選手の幼い子供が入国できるかの質問に対して組織委員会からの返答はなく、IOCは入国制限下での子供の入国が可能かどうかについては明言せず、「個々の状況に応じて対処される」と説明していると同紙。丸川大臣が3月に「女性の積極的な参加は、豊かで活気に満ちた持続可能な社会の創造と、誰もが快適に暮らせる社会の実現につながる」と語っていたことを引き合いに、女子選手に幼い子供を自国に残すよう求めることは女性尊重を主張するIOCと主催者にとって「どれほど空虚であるかを示している」と批判している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)