東京五輪・パラリンピック組織委員会が7月23日に国立競技場で行われる開会式で、男女2人による選手宣誓を計画していることが25日、複数の大会関係者への取材で分かった。「ジェンダー平等の推進」という観点から立案した。1920年アントワープ大会から始まった五輪の選手宣誓で男女が行ったのは88年ソウル大会のみ。実現すれば33年ぶり2度目となる。

   ◇   ◇   ◇

組織委は開会式の選手宣誓を男女で実施する方針を固め、今後、日本オリンピック委員会(JOC)や国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)と人選などを含め、具体的な協議に入る。

夏冬合わせた過去の日本の五輪で宣誓を務めたのは、64年東京大会が小野喬(体操)、72年札幌冬季大会は鈴木恵一(スピードスケート)、98年長野冬季大会は荻原健司(ノルディック複合)でいずれも選手団主将だった。JOCは4月、男女平等の観点から初めて日本選手団に副主将を設置することを決めた。主将と合わせて男女1人ずつ選出すると決めており、これまでの流れを見るとこの主将、副主将が宣誓を担当する可能性もある。

IOCも男女平等を進める上で東京大会から開会式の旗手も、男女1人ずつをペアで起用できる新ルールをつくった。組織委の「ジェンダー平等推進チーム」のトップを務める小谷実可子スポーツディレクターは取材に「大会を通じてジェンダーバランスを表現できる場は何かと考えたときに、選手宣誓という案が出た」と語った。

五輪の選手宣誓は、開会式の中で聖火台への聖火点火の前に行われるメインイベントの1つ。審判、コーチの代表者も名を連ね、選手が代表して五輪旗を持ちながら宣誓する。00年シドニー大会では「ドーピングはせずに」という文言が初めて追加されるなど、宣誓文は時代背景が反映される。

東京大会で初めて「男女平等」が宣誓文に加わる可能性もあるという。小谷氏は「ジェンダー平等、多様性の文言を選手宣誓の中に入れるべきとのIOCアスリート委員会の提案が理事会で承認された。東京大会の宣誓文に入ることが期待できる」と語った。

東京大会は選手宣誓以外にも、男女平等や多様性を意識した施策を検討中。表彰式のボランティアは10代から70代で性別を問わない多様性に富んだ人選を進めている。バレーボール、ハンドボール、バスケットボール、ホッケー、ラグビーの5競技で女子決勝が男子の後に実施される。女子選手の比率も48・8%となり過去最高となった。