国際オリンピック委員会(IOC)国際パラリンピック委員会(IPC)と東京五輪・パラリンピック組織委員会は15日、大会中の新型コロナウイルス対策をまとめた「プレーブック」のアスリート向け第3版を公表した。

ルールを守らなかった選手や関係者に金銭制裁、参加資格剥奪、国外退去強制措置など重い処罰が科されることの詳細が明記され、懲戒委員会の裁定によってはメダル剥奪の可能性も。不正防止のため抜き打ち検査も検討される。

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コロナ対策に反した選手らが厳しく処罰される、前例なき大会になりそうだ。4月のプレーブック第2版で記された違反者の出場停止処分、大会参加資格証剥奪の可能性が第3版では具体的に明示された。新たな金銭制裁に加え、警告、失格、資格の一時または完全な剥奪、国外退去強制措置まで規定し、厳格化した。

厳しい措置を設定したのは、37日後の開幕へ国民に安心安全を示す必要があるからだ。会見した中村メイン・オペレーション・センター(MOC)チーフは「悪質な違反があれば命、健康に関わる」と過去の大会との違いを強調。違反者や処罰内容を決定するのはIOC、IPCと組織委で「メダル獲得後に違反があった場合、剥奪の可能性もあるのか」と聞かれたIOCのデュビ五輪統括部長は「懲戒委員会が決めること」。明言こそ避けたが、第3版に入った「失格」は五輪憲章に基づいており、その中には剥奪がある。懲戒委の裁定によっては栄誉を失う可能性が、抑止力になる。

選手に原則、毎日課す予定の検査は午前9時と午後6時に唾液の検体を提出。それぞれ午後9時、翌朝6時に結果が出るスケジュールを整え、午前と午後に試合帯が分かれる選手に配慮した。陽性判定が出た場合は選手村の発熱外来で鼻咽頭PCR検査を行う。検体は各個人が採取し、各選手団、団体のコロナ対策責任者および代理が集めて検査に持参。不正防止のため中村氏は「抜き打ち検査も検討する」と明言した。

GPS(衛星利用測位システム)搭載のスマートフォンを携帯させ、2種のアプリで行動と健康を管理。未携帯の場合も処分対象になる。また、IOCによると海外メディアの7~8割がワクチンを接種して来日する見込みだが、接種者のルール緩和については中村氏が否定的な考えを示した。今回が最終版の予定だったが、変異株など必要に応じて補正していくことも決めた。【三須一紀、木下淳】