東京オリンピック(五輪)の観客について、夜間や大規模会場の一部試合を無観客とする調整を大会組織委員会が各対象自治体と進めていることが2日、分かった。

6月21日の5者協議で五輪の観客数上限が決定した後、組織委の橋本会長が埼玉県の大野知事ら対象会場を抱える県から電話会談で無観客を要請され、検討していたもの。夜間は、バスケットボールの午後9時開始が11試合ある「さいたまスーパーアリーナ」や、男子サッカー決勝の終了予定が午後11時30分と遅い「横浜国際総合競技場」などがあり、組織委としては、知事権限で無観客が決定された場合は尊重するしかない状況にあった。開始時間の前倒しも不可能だ。

条件緩和時の観客数上限が1万人となっている大規模会場に関しても、再抽選の上限を5000人に再設定することが難しければ無観客となる可能性がある。

上限は、東京都などに出ている「まん延防止等重点措置」が11日に解除されることを前提に「収容定員の50%以内で1万人」と決められたが、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は前週比で増加傾向。重点措置が解除されず延長された場合、政府の開催基準は5000人となっており、陸上、野球、サッカーなどの会場に影響が出る。

組織委内には、上限が5000人になることに備えつつ、現時点で観客数が5000人かつ50%を下回っている小中規模の会場は、そのまま生かしたい考えがある。一方で大規模会場が無観客になった時の公平性などから、全会場を一律に無観客とする案も選択肢としてあり、政府や国際オリンピック委員会(IOC)等との5者協議を8日にも開催し、議論する。

同日は、政府が重点措置等の方針を正式決定する見通し。組織委は政府方針に準じて観客数を決める。今月12日以降も重点措置が続いたり、緊急事態宣言が発令されたりすれば、無観客も含めた対応をすることにもなっていた。