幾多の困難を乗り越えて、ついに、56年ぶりに東京五輪の聖火が日本にやってくる。新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中、聖火引き継ぎ式が、第1回近代五輪(1896年)会場のパナシナイコ競技場で行われた。20日、航空自衛隊松島基地(宮城・東松島市)に到着する。

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64年東京五輪の聖火引き継ぎ式は、同年8月22日にアテネ南部のヘレニコン空港(旧アテネ国際空港)で行われた。10月10日の開会式から49日前だった。前日の21日にオリンピアで採火された聖火は、日本航空の特別機「シティ・オブ・トウキョウ」に乗ってアジア11カ国を訪問。各地で聖火リレーを行った後、9月7日に当時米国の占領下にあった沖縄に到着した。

9月9日に沖縄を飛び立った全日空の特別機「聖火号」は鹿児島と宮崎を経由して北海道の千歳に向かった。鹿児島、宮崎、千歳を起点とした聖火リレーは、4ルートに分かれて1カ月で47都道府県を巡った。当時は複数ルートが可能で、期間も短くて済んだ。

ちなみにヘレニコン空港は01年に閉鎖。04年アテネ五輪では野球、バスケットボールなどの会場になった。松坂大輔や上原浩治氏が野球で銅メダルを獲得した場でもある。