「先発完投を目指せ」は古い。時代の流れに逆行し、取り残されていく/調査報道〈4〉

ロッテ佐々木朗希の完全試合に始まり、ソフトバンク東浜巨、DeNA今永昇太、オリックス山本由伸、日本ハムのコディ・ポンセがノーヒットノーランを達成した2022年。長いプロ野球の歴史を振り返っても、1シーズンで5人のノーヒットノーラン(完全試合を含む)達成者が出たのは1940年(昭15)以来。最多タイの人数になりました。快挙5試合の平均奪三振数は9・8個で、四死球数は1・2個。歴代の平均数は奪三振数が6・3個で四死球数が2・4個。無安打試合の記録だけを比べても上回っています。 達成者4人も43年の1度しかなく、過去2度の記録は、1936年にプロ野球が誕生してから10年未満のもの。投手が圧倒的有利と言われた時代でした。今季が「投高打低」と言われるのもうなずけます。しかし…本当に「投高打低」なのか? 本当なら、何が原因なのか? ベテラン記者がデータを読み解き、さまざまな角度からアプローチしていきます。

プロ野球

役割別の防御率、奪三振率、与四球率。持ち場に応じた投手のタイプが分かる

役割別の防御率、奪三振率、与四球率。持ち場に応じた投手のタイプが分かる

元祖は野村克也 江夏豊を落とし抑えに

投手起用の改革も「投高」を促進させている。今では「先発→中継ぎ→抑え」の分業制が当たり前だが、最初に分業制を提唱したのは、1977年(昭52)に南海で監督を務めていた野村克也氏(故人)だった。

76年に阪神からトレードされた江夏豊に対し、翌年の5月8日、ストッパー転向を打診。当時のリリーバーは先発で結果を残せなくなった投手や、力不足で先発できない投手の役割だった。

江夏は拒否していたが「ピッチングマシンが発達し、バッターはいくらでも練習できる。対して、ピッチャーの肩は消耗品。これからは打高投低の時代になる。ピッチャーは分業制でいかないといけない」と諭し、断り続けた江夏を「革命を起こそう」と口説いたのは有名な話だろう。

持ち場=タイプに応じた成績の傾向

試合の最後を締めくくるストッパー制が確立し、分業制は加速した。

プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。