【北海道・厚岸編】西武・龍世のルーツへ あの守備態勢はいかようにして/連載〈2〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、コラボの世の中。野球×旅。高尚な紀行文なんぞ仕立てられませんが、お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第1回の沖縄・浦添編に続き、今回は北海道・厚岸へ。

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◆佐藤龍世(さとう・りゅうせい)1997年(平9)1月15日、北海道・厚岸町生まれ。北海では甲子園出場なし。富士大では3年春に首位打者、本塁打王、同年秋に打点王。18年ドラフト7位で西武入団。19年3月29日1軍デビュー。同年8月10日のロッテ戦でプロ初本塁打。21年8月トレードで日本ハム移籍。22年11月にトレードで西武に復帰した。174センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1100万円。

室内練習場で連日汗を流す=2023年7月16日

室内練習場で連日汗を流す=2023年7月16日

釧路の50キロ東「あっけし」

暑い。所沢にいようが、大阪に行こうが、福岡に行こうが、いつも不意に「暑い」と言ってしまう。暑い、眠い、腹減った。O型人間のクセなのか。

西武の佐藤龍世内野手(26)はO型じゃないようだけれども「暑い…」と巨大扇風機に顔を当て、髪をなびかせた。ベルーナドームの室内練習場。37度とか38度とか、最近はもう体温より高い外気温。にもかかわらず、ナイターがある日、彼は連日のように昼すぎから打ち込んでいる。

意外なことを言う。

「僕、エアコンっていうか、クーラー経験したことないです。高校で札幌に出るまで。夏でも札幌より5度くらい低いから、クーラーいらないですもん」

試合前練習で扇風機の前で涼む=2023年7月17日

試合前練習で扇風機の前で涼む=2023年7月17日

佐藤龍は北海道・厚岸町で生まれ育った。読み方は「あっけし」。本土最東端にあたる根室の80キロくらい西で、エリアの中心都市にあたる釧路からみれば50キロほど東。地図でいえば北海道の右下あたりにある、海産物のほうのカキが有名な港町だ。

佐藤龍は…仲間やファンからも「リュウセイ」と親しまれているから、この記事でも「龍世」と書く。龍世は、これまで色々あった。でも西武担当記者になって半年、一番練習を頑張っている選手の1人だと自信をもって言える。

釧路空港への着陸直前、住宅地と釧路湿原が同居する風景=2023年7月18日

釧路空港への着陸直前、住宅地と釧路湿原が同居する風景=2023年7月18日

彼のルーツを見てみたい。何度か通過したことがあるけれど、今あえて、厚岸へ。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。