【宮崎南郷・前編】行使か残留か―山川穂高に問う直前、眼下に広がった青/連載〈7〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第7回は宮崎県日南市、南郷。キャンプ見学に訪れる西武ファンにもさほど知られていない絶景地で、緊迫の取材へ心を整えました。

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▼「野球と旅をこじつける」▼

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2023年10月29日、宮崎へ

絶景へと続く山道は、カーナビの縮尺を相当「詳細」にしないと画面に出てこないし、実際に狭い。

入り口にもしっかり看板が立てられている。

「この道路は農業者優先の農道です」

添え書きもちゃんと。

「幅員が狭く、離合が困難ですのでご注意ください」

プチ旅人ゆえ、世間的に“酷道”と呼ばれるような狭い道での運転もけっこう経験した。それでも「離合困難」だけはできれば避けたい。対向車と事故なくすれ違うために100メートルも200メートルもバックするとか、やっぱり大変だ。

南郷城跡へ向かう離合困難な山道

南郷城跡へ向かう離合困難な山道

ただ23年10月29日、この日だけはあまり狭小を気にせずに進んだ。頭の中は1人の人物のことでいっぱい。その人物の名は。

山川穂高。

面と向かって話すには…

結局のところ誰もが「人事」に興味はある。23年1月に埼玉西武ライオンズの取材担当に着任した。最大の任務の1つが、山川のFA問題だった。

任務とはすなわち、適切なタイミングで、できればライバル紙に先駆けて「行使」「残留」の答えを報道すること-。

このミッションが予想だにしない展開になった。山川自身の不祥事で、FAどうこうの騒ぎではなくなった。起訴か不起訴か。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。