【横井ゆは菜〈3回連載:上〉】「人と違う」を求めた娘「前より出来てる」怒らない母

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の思いに迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第5弾は横井ゆは菜(22=邦和みなとSC/中京大)が登場です。独特の世界観を氷に乗せてきたエンターテイナーのルーツから、学生最後のシーズンを迎えている今季までを全3回でお届けします。上編は、幼少期の記憶をたどります。(敬称略)

フィギュア

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22年中部選手権、フリーの演技

22年中部選手権、フリーの演技

ビデオに残る積み木遊びに「らしさ」

その小さな手に握られた積み木やトランプは、いつのまにか誰かの顔になっていった。

「お母さんだよ」。

そんな風に、ちょっと誇らしげに教えてくれる。

まだ幼稚園に入る前、自宅で一人遊びに興じるのが好きだった。じゅうたん一杯に、次々に遊び道具を並べていく。人とはちょっと違うやり方。

「幼い頃から人と違うようにいたい願望があったんでしょうねえ」

母はよくビデオを回していた。そこに映る姿をよく振り返りながら、「三つ子の魂百まで」を地で行く今を感じ入る。

スケートでもそうありたいとずっと願ってきた。そして、その願いをかなえてくれるのもまた、スケートこそだった。

横井ゆは菜(よこい・ゆはな)

2000年5月19日、愛知県出身。現在は中京大4年、スケート部の主将を務める。届けるプログラムは「ゆは菜ワールド」全開。クイーンやアニメ「トムアンドジェリー」など、他にはない独自性を持ち、観客の心をつかんできた。世界ジュニアでは18年6位、19年9位となるなど実力も折り紙付き。今季は10月のスケートカナダ8位など。その存在感を放つのはSNSでも、ファンからの支持も熱いツイッター(@yuhachin0519)では、他選手への愛情あり、視点ありのつぶやきも人気。なお、そのプロフィル欄には、あんこが大好物 フルグラ常備 お喋り大好き 低音ボイス。褒め言葉「面白いね!」、などの紹介も。将来の目標は「面白いおばちゃん」である。

遊び場を求めやってきた「邦和スポーツランド」

2000年5月19日、里帰り出産していた岐阜で生を受けた。3168グラム。身長は50・5センチ。

生まれてくるまで両親は性別を聞かなかった。男の子なら父、女の子なら母が名前を決める。

それだけは決めていた。

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。