【横井ゆは菜〈3回連載:中〉】愛知の外で触れた「いやあ、衝撃!」樋口と坂本と三原

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の思いに迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第5弾、横井ゆは菜(22=邦和みなとSC/中京大)の全3回の中編です。初の全国舞台で受けた同世代の衝撃、試合での涙-。一喜一憂しながら過ごしたジュニア時代の記憶です。(敬称略)

フィギュア

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15年の全日本ジュニアで3位。優勝した樋口新葉(中央)2位白岩優奈(左)と記念撮影

15年の全日本ジュニアで3位。優勝した樋口新葉(中央)2位白岩優奈(左)と記念撮影

3回転の壁を突き抜けた瞬間 サルコー次の日にトーループ

「その時に、これやってる子がいたらウザいと思いますが(笑い)」

その3回転サルコーは転んだのに、小学校5年生の横井には「違い」が分かった。

身に付いてきたダブルアクセルと同じ感覚で降りられている。

「あれ、いつもと違うってなって、リンクの上でみていた母に向かって、両手を広げてアメリカンリアクションで『いいんだけど?』」って。ウザいですね、ほんと(笑い)」

小学校2年生から本格的にスクールに入った。1つ上の学年に巧者がそろい、ジャンプでも飛び抜けた存在ではなかった。それが、一気に壁を突き抜けた瞬間を味わった。

転倒にもかかわらず手にした確信は本物だった。オーバーリアクションもでるほど、うれしかった。

「急にジャンプが回転をし始めて。すぐにサルコーが跳べて、その次の日にトーループが降りれたんです。3回転の壁、というのがあって、そこを通り抜けて」

トップ選手の条件とも言える多種類の3回転へのひらめき。一気の飛躍だった。

「私ってうまいんじゃないのって(笑い)でも、そんなに甘くないですよね。いつもそう。調子に乗って、痛い目をみて分かる!」

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。