【全日本合宿から〈上編〉】「何、この曲」「代表作に」「戦いを楽しむ」/男子の言葉

フィギュアスケートの全日本シニア強化合宿「ミラノ・コルティナ五輪対策合宿」が7月3~5日、大阪・関空アイスアリーナで行われました。

男女シングルのトップ選手が集い、講師として世界選手権男子優勝4度のカート・ブラウニングさん(59)、10年グランプリ(GP)ファイナル女子優勝アリッサ・シズニーさん(38)が来日。夏の風物詩ともいえる機会で、各選手もシーズンの到来を実感する時間となったようです。

日刊スポーツ・プレミアムでは写真を交え、3週にわたって、選手の言葉をお届けします。

上編は男子の特集です。

フィギュア

フィギュアの五輪対策合宿公開練習で、カート・ブラウニング氏のレッスンを受ける左から坂本花織、友野一希、鍵山優真、壷井達也(すべて撮影・藤尾明華)

フィギュアの五輪対策合宿公開練習で、カート・ブラウニング氏のレッスンを受ける左から坂本花織、友野一希、鍵山優真、壷井達也(すべて撮影・藤尾明華)

鍵山優真

■鍵山優真

【SP】I Wish(振付師=ローリー・ニコル)

【フリー】トゥーランドット(振付師=ローリー・ニコル)

―合宿を振り返っていかがですか

この3日間を通して、ショートプログラム、フリープログラムのレベルのチェックだったりとか、スケーティングや表現面などを、さまざまな方に見ていただき、すごくいろいろな指摘を受けたので、指摘を受けるということは伸びしろがまだまだあるということなので、これを前向きに捉えて、オリンピックシーズンにいいスタート切れたらいいなって思います。

―具体的にどんなところを指摘されましたか

レベルの観点で言うと、スピンの回転数だったりとか、ステップのボディーの使い方とか、そういったところをアドバイスもらったりとか、あとは表現面でいうと腕の使い方だったり、空間の使い方だったり、フリーとかは特にシンプルな動きがすごく多くて、でもやっぱりシンプルな動きをうまく見せるのはすごく難しいので、そういうところを1つ1つ手先、足先、感情込めながらやることを意識しています。

―あらためてショートプログラムとフリーについて教えてください

まずショートプログラムは「I Wish」という楽曲。スティービー・ワンダーさんのオリジナルの曲を、ピアニストの角野隼斗さんと、ギタリストのマーシンさんがコラボでアレンジしたものを使っています。最初のスタートポジションの表情から本当にすごく見てほしくて、今まで見たことないような、ちょっと新しい自分をオリンピックシーズンでも演じられるかなと思います。ステップシークエンスとかもすごく独特な動きとか、上下左右すごく体使ってきついプログラムなので、もっと余裕を持たせて滑れるように頑張りたいと思います。振付師さんはローリー・ニコル先生の振り付けで、フリーもローリーさんの振り付けで「トゥーランドット」なんですけど、ちょっと違うアレンジで。オリジナルのプッチーニさんが最後の楽曲を書き終えずになくなってしまったその空白の部分を、クリストファー・ティンさんという作曲の方が、新しいアレンジでフィナーレを作って、それを使用しています。なので、タイトルはみんな知ってるけど、曲はあんまりなじみがなくて新鮮な感じなので、今まで歴代の偉大な方々たちが滑ってきたトゥーランドットとは、また一味違うものになっているかなって。最後の方では「誰も寝てはならぬ」の曲が使われているので、そこで気づく方もいらっしゃると思います。

―大事なシーズンで、この曲に決めた思いなどはありますか

まず最初にトゥーランドットとかいろいろな曲の候補が挙がってきて、最初はちょっと誰かと曲がかぶるのが怖くて「どうなんだろう」って思ってたんですけれど、でも「やっぱり絶対これが似合うよ」ってローリー先生とか、カロリーナ先生が推してくださって、ローリー先生がクリストファー・ティンさんのトゥーランドットのアレンジを見つけた時に「これは優真にぴったりだ」って言ってくださって、実際にインスタグラムでそのオペラのコーラスの方とかを見た時も、すごく感動して「使いたい!」ってなったので。やっぱりすごくオリンピックにふさわしい曲の1つだと思うので、僕もこの曲に自信を持って、今シーズン挑めるかなって思います。

―今日の練習では4回転フリップを何度も挑戦していました。成功したらスパッと次の練習に切り替えていた印象ですが、練習の組み立て方など、自分の中で考えているところはありますか

今日はショートプログラムの2発目の4回転フリップを何回か確認していたんですけど「成功するまで絶対辞めたらん」と思って続けていたので(構成の)2発目なのでちょっとタイミングとか、リズムとか難しいところはあるんですけれども、今シーズンはトーループとフリップで新しい構成で挑みたいという、どうしても強い思いがあるので、やっぱりオリンピックシーズンだけれど、攻める姿勢は変えずにやっていきたいと思うので、そこは何度も何度も確認して、とにかく細かく調整して、数をこなしながら、フリップを確実に跳べるようにしたいと思っています。

カート・ブラウニング氏(右)に指導を受ける鍵山

カート・ブラウニング氏(右)に指導を受ける鍵山

―荒川さんや宇野さんの「トゥーランドット」も見ていると思います。元々持っていたイメージはありましたか

荒川さんとか(宇野)昌磨くんとか、やっぱり素晴らしいスケーター、他にも素晴らしいスケーターの方々がトゥーランドットをオリンピックで使ったりとかしてて、最初は自分がこのプログラムを演じるのにふさわしいのかどうか、というところの疑問というか、不安っていう部分ももちろんあったんですけれども、やっぱり今シーズンにかける思いっていうのはすごく僕は強くて、北京の時以上のパフォーマンス、そして成長っていう姿を見せたかったので、最初はちょっと不安はあったんですけれど、やっぱりチームのみんながすごく信頼して「優真なら絶対にできる」って言ってくださったので、僕も自信を持って「これをやりたい」ってなりました。

―選択肢はいくつくらいあったのですか

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。