度胸と“ビビり”の集合体 中井亜美GPデビュー戦Vの裏に、中庭健介コーチとの信頼

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦フランス大会の女子で、中井亜美(17=TOKIOインカラミ)が日本女子3人目のGPデビュー戦優勝を飾りました。

SP78・00点に続き、フリー149・08点、合計227・08点といずれも今季世界最高。2026年ミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)の代表3枠争いに名乗りを上げ、本番でもメダルを狙える立ち位置に躍り出ました。

GPデビュー戦の優勝は2018年NHK杯の紀平梨花、2022年スケートカナダの渡辺倫果に続く快挙。その渡辺と中井を指導する中庭健介コーチ(44)も、教え子の大健闘を喜びました。(本文敬称略)

フィギュア

フランス大会 表彰台で写真に納まる1位中井(中央)、2位坂本(左)、3位住吉(撮影・パオロ ヌッチ)

フランス大会 表彰台で写真に納まる1位中井(中央)、2位坂本(左)、3位住吉(撮影・パオロ ヌッチ)

「ちょっと想像を超えた結果」

リンク上のスクリーンに、3つの日の丸が映し出された。

10月18日。最終滑走を担った中井は、武器とするトリプルアクセル(3回転半)を組み込んだフリーを、重圧に負けじとまとめきった。

2位の坂本花織、3位の住吉りをんと立った表彰台。表彰式を終えても、中庭の胸中は驚きが支配した。

それは、内容に対するものではない。

余韻が残るリンク裏で、率直な思いを言葉にした。

「これぐらいの演技ができるという、期待はもっていました。普段からノーミスをしたことがない、というわけではなくて、1時間のうちにショートとフリーを両方ノーミスもしていました。ただ、結果はちょっとビックリです。出来としてはこれぐらいできるとは思っていましたが、結果として、まさかこのような評価をいただけるとは。ちょっと想像を超えた結果でした」

フランス大会 フリーの演技を終えガッツポーズ

フランス大会 フリーの演技を終えガッツポーズ

3年前も渡辺を指導し、GPデビュー戦を制する経験をした。

当時の渡辺は20歳。故障で樋口新葉が辞退し、急きょ出番が巡ってきた。

驚いた、という感情は共通している。

「倫果ちゃんの時も正直びっくりしました。アサインがなくて、ロンバルディア杯ですごくいい演技をして、1週間後に、たまたまご連絡をいただいた。あれよあれよ、でした。ビックリというのは共通点です」

04年、福岡大時代の中庭(左)。全日本選手権2位。本田武史、織田信成と笑顔

04年、福岡大時代の中庭(左)。全日本選手権2位。本田武史、織田信成と笑顔

自身も大学生の時にスケートアメリカでGPデビュー。単純に年齢で比較しても、競技会の経験値が17歳は少ない。

「17歳じゃないですか。フランスはレベルも高くて『下手したら7~8位…』という思いを抱えながらの勝負だったので…」

期待は持ちながらも、それが大会前の心境だった。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。