【春高の舞台裏〈2〉】大ケガを負った就実のエース福村、それでも立たせたかった舞台

バレーボールの高校選手権大会(春高バレー)女子で2連覇を目指した就実のエース福村心優美(3年)は、準決勝の前日に急きょ東京を離れた。直前まで試合に出られるか、分からなかった。4強で敗れたチームに何が起きていたのか。3回連載の第2話。(第3回は2月23日掲載予定)

バレーボール

就実高バレー部連載〈2〉福村心優美編

準決勝前日に岡山に帰っていた

彼女はコートにいた。

痛みをこらえ立っていた。

できることならもう1試合、戦いたかった。

高校3年間の出来事が走馬灯のように脳裏をめぐる。

2年前は会場に入ることすらできなかった。

どれほどの絶望感に襲われただろう。

今思えば、最後までコートに立っていることが幸せだった。

共栄学園(東京第3代表)との準決勝(1月11日、東京体育館)。

高橋凪(なぎ、3年)のスパイクが相手の2枚ブロックに阻まれて敗退が決まった瞬間、まだ現実を受け止めきられずに福村は立ち尽くしていた。

応援席へあいさつに向かう。

顔を上げ、客席を見ると、卒業した先輩の姿が見えた。

その先には必死に声をからして背中を押してくれた保護者もいる。

「負けた時は『これで高校バレーが終わったんだ』と、しばらくはぼう然としていました。涙はすぐに出てこなかったんです。『ありがとうございました』とあいさつをした時に岡崎さん(岡崎杏)、河本さん(河本菜々子)らOGの顔が目に映ったんです。近くには親もいて。みんな『よく頑張った』と拍手をしてくれていました。それを見て涙が止まらなくなりました」

エースを襲った悲劇は1度だけではなかった。

あの日も、そして今回も―。

おそらくは、日本を背負って立つ選手になるであろう選手の物語―。

春高バレー準決勝・就実―共栄学園 第4セットはジュースにもつれる激しい戦いだった(撮影・鈴木正人)

春高バレー準決勝・就実―共栄学園 第4セットはジュースにもつれる激しい戦いだった(撮影・鈴木正人)

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スポーツ

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。