【春高バレー連載〈3〉】金蘭会 才能ある選手が狙う4度目頂点…部員3人からの下剋上

「ゼロ」から始まったチームは全国の強豪になった。大阪の金蘭会高校で女子バレーボール部監督の池条義則は公立の南寝屋川高校を率いた当時、女子日本代表の中野由紀を育てた。2007年、請われて金蘭会に移ったが部員は3人ほど。そこから日本一へ導く。4度目の頂点へ-。スター候補生を支える人たちも追った。(敬称略)

バレーボール

〈金蘭会高校編〉

2023年1月、金蘭会対誠英 3位に終わった金蘭会 の上村は涙を流しながら記念撮影に納まる(撮影・玅見朱実)

2023年1月、金蘭会対誠英 3位に終わった金蘭会 の上村は涙を流しながら記念撮影に納まる(撮影・玅見朱実)

【過去10大会の全日本高校選手権(春高バレー)女子優勝、準優勝校】


優勝準優勝
☆13年度九州文化学園東九州龍谷
☆14年度金蘭会大阪国際滝井
☆15年度下北沢成徳八王子実践
☆16年度下北沢成徳就実
☆17年度金蘭会東九州龍谷
☆18年度金蘭会東九州龍谷
☆19年度東九州龍谷古川学園
☆20年度就実大阪国際滝井
☆21年度就実古川学園
☆22年度古川学園誠英

~金蘭会 写真ギャラリー~

上村&西村Wエース擁し
下北沢成徳の3冠阻止へ

真新しい校舎の5階に体育館はある。

ドアを開けると、選手たちのかけ声が響いていた。

高いブロックをかいくぐるようにスパイクを放つ。

狙いすましたサーブの練習。大会が間近に迫り、試合を想定したメニューが続いていた。

真剣な表情で監督の池条が見つめている。

時折、選手を集めて指示を出す。すると、その場の空気が引き締まっていく。

体育館の片隅で、大会にかける思いを聞いた。

「うちも3冠を取ったことがあるんやけどね。

あの時はプレッシャーがすごかった」

ほぼ休部状態のバレーボール部を率いて、全国制覇へと導くのである。

ラグビーなら「スクール☆ウォーズ」、野球なら昨年ヒットしたドラマ「下剋上球児」(TBS系)のようなものだろう。

それは、苦労を重ねながら頂点へと導いた人らしい言葉だった。

2023年10月、準優勝したかごしま国体(チーム提供)

2023年10月、準優勝したかごしま国体(チーム提供)

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。