やっとファンの期待に応えた !  峰竜太(36=佐賀)がイン速攻を決め、涙のオールスター初優勝を決めた。SGは昨年12月平和島グランプリ以来、通算5度目の制覇。獲得賞金は7200万円を超え、賞金トップに躍り出た。2着は混戦を抜けだした佐藤翼が入り、3着は白井英治が最終2Mで菊地孝平を逆転した。

こみ上げてくる思いを全て込めた。峰竜太はゴール前から、右手を何度も突き上げた。3万4968票のファンの支えもあり、5年連続1位という重責を一身に背負い、「優勝」を求めて節間を過ごした。「今までで一番うれしい。オールスターは思っている以上に大きい大会で、ボートレースの全てだと思います」。真っ赤な顔で涙を流しながら感謝の思いを語った。

ビクトリーロードは自ら切り開いた。ドリーム戦で逃げ切り、予選ラストで1着をつかみ、逆転でトップ通過を決めた。決して前評判の高くない30号機で準優を勝ち上がった分、不安を隠せなかった。「菊地(孝平)さんを意識して調整したけど、足が違っていた。受け止められないと思っていた」。重圧と戦いながらも、1周1Mは渾身(こんしん)のターンで菊地のまくり差しを振り切った。「1Mを回って泣いていた。優勝できたと思った。奇跡と思う。ファンが優勝させてくれた」と振り返った。

若松での悔し涙は、最高の声援とともに歓喜の涙に変えた。13年7月、若松でのSGオーシャンカップ。2コースからイン松井繁を差して先行したが、1周2Mで湯川浩司と競り合う形で6着大敗。初のSGタイトルを手元で取りこぼし、戻ってきた時は人目もはばからずに号泣した。

あれから約8年が過ぎた。「きつい思いもしたけど、やっと恩返しができました。もうやめてもいいぐらい」。まだSGタイトルは5個目。最強のレーサーを目指し、峰は涙とともに成長を続ける。【中森亮】