今年のボート界最強男、石野貴之が、このシリーズで歴史を塗り替える。エンジン抽選を無事にクリアして、初日はメイン12Rドリーム戦の6枠に登場。大外から華麗な立ち回りを見せる。

 いつでも自然体だから、大記録樹立が現実味を帯びる。石野は試運転、スタート練習を終えてキャブレター洗浄などを行い、やるべきことを淡々とこなした。

 手にした43号機は、複勝率42・0%と数字を残している。「下がらなかったし、1本目のスタート(練習)もバチッと行けたのでいいです」。スリット写真をにらむ横顔に、焦りはみじんもなかった。

 体もすっかり夏仕様だ。鳴門SG後は、福岡県のボートレーサー養成所での定期訓練を挟みながら、リフレッシュ。つかの間の休息を過ごし、全身がこんがりと焼けていた。「海、ゴルフにロードバイクも乗って、(体が)真っ赤ですよ」。

 言わずもがな、優勝すると多くの大記録が生まれる。周囲も騒がしくなるが、本人は人ごとのように笑う。「業界が盛り上がってくれればいいです」。周りの雑音はシャットアウト。黙って最高の結果を出す。それがボートレーサー石野の流儀だ。【津波謙次】

 ◆Vなら偉業だらけ 今節Vで史上初の同一SGタイトル3連覇となる。また、5月福岡オールスター→6月鳴門グラチャンからのSG3大会連続Vとなり、野中和夫(引退)、西島義則(広島)に次いで史上3人目。さらに、年間SG3勝は史上6人目の記録となる。