やっと頂点にたどり着いた。SG優出11回目の峰竜太(32=佐賀)が1号艇の重圧を吹き飛ばし、インから豪快逃げ。悲願のSGタイトルを手中に収めた。これまで流してきた悔し涙がようやく報われた。獲得賞金は7900万円を超え、2年ぶりに年末の住之江グランプリ出場を確実とした。2着は差した前本泰和、3着は丸岡正典が入った。

 待ちに待った瞬間が訪れた。SG優出11回目の峰竜太がインから何とか押しきり、SG初優勝を飾った。スタートでやや後手に回り、1Mのターンも納得できなかった。内懐には差し込んできた丸岡正典、前本泰和の姿が見えた。「差されないでくれ! と神様に願いました」。その思いが通じたのか、バック中間で先頭。ゴールでは、今まで味わったことのない格別の喜びをかみしめるように力強く、右手を握り締めた。

 ピットで、はばかることなく泣きじゃくった。その周りで「泣き過ぎ」、「引くぐらい泣いてますね」と言いながら、祝福する仲間たち。拍手や抱擁の嵐に包まれた峰は「もう3周目から泣いてました。いろいろ思い出して…。何があるか分からないし、周回も数えだして…」とまた涙を拭った。愛されキャラらしい感動の優勝シーンだった。

 数々の失敗が初戴冠を呼び込んだ。2年前の蒲郡メモリアルでは1号艇ながら篠崎元志との激闘に惜敗。昨年の鳴門オーシャンCでは予選1位通過ながら準優で痛恨のフライング。貴重なチャンスを逃した。心が折れず、レースを楽しみ、精神力を蓄えられたのは、愛する家族の協力があってこそ。「支えてくれた家族に最初に伝えたい」。応援に来た愛妻、3人の愛娘に感謝した。

 今年5月の福岡オールスターでドリーム戦1号艇にも選ばれ、今回の優勝。思い描いた2つの目標をかなえた。「もっと土台をつくって簡単にSGを取れるレーサーになりたい」。いよいよ真のスーパースターへの道を歩みだした。【窪寺伸行】

 ◆峰竜太(みね・りゅうた)1985年(昭和60)3月30日、佐賀県唐津市生まれ。04年11月、95期生としてからつでデビュー。初優勝は05年11月のからつタイトル戦。G1優勝は09年2月の芦屋地区選をはじめ5回。通算優勝は47回。同期は山田哲也、岡村仁、海野康志郎ら。身長172センチ、体重55キロ。血液型B。