今年1年を新田祐大の年にしてみせる。

 この日のKEIRINグランプリ公開練習。山崎芳仁に浅井康太が合流したラスト1周のホームで軽めのダッシュを披露。「特に何も考えてませんよ」とけむに巻いたが、ファンの前で山崎との「あうんの呼吸」を確認していた。

 日本選手権で真のタイトルホルダーの仲間入りを果たし、オールスター競輪でも優勝。競輪界にあるG1の中でも、最高格式を持つG1を、わずか6カ月間でかっさらった。GPを勝てば年間獲得賞金は2億6000万を超え、最多記録を更新する。「せっかくなので記録を塗り替えられれば」と、静かに闘志を口にした。

 今月25日には日本プロスポーツ大賞の授賞式に参加し功労賞を受賞。「晴れ舞台に立てて、名誉ある賞をいただけた。ここ(GP)へのモチベーションにもなった」と笑った。1人のプロアスリートとして、他競技の関係者との交流も増えた。「競輪を知らなかった人も興味を持ってくれている。そういう人たちの夢をかなえたい」。使命感を背負ってスタート台に立つ。

 2年前の立川GPは8番手不発の9着。「前回は大失敗に終わってしまった」。もう同じ轍(てつ)は踏まない。15年の輪界を、新田一色に染める日はもうすぐだ。【山本幸史】