こんにちは。

 競輪選手が力いっぱい走るには、裏方のはたらきが欠かせません。今回は検車にスポットを当てます。選手の生命線である自転車を、検査や整備するプロスタッフの様子を伝えます。

検車室で検査される落車後の自転車。奥の黒色が安藤孝正が使用している自転車
検車室で検査される落車後の自転車。奥の黒色が安藤孝正が使用している自転車

 4月10日の大宮競輪A級予選5Rで落車が発生した。検車室でレース中継を見ていたJKAの検車スタッフの動きが慌ただしくなる。落車した2人が医務室に向かう頃、使用した自転車2台が検車室に運ばれてきた。スタッフ同士がまず前後のタイヤを交換。次はフレームやハンドル、車輪にゆがみがないかと、お互いに手順を確かめながら作業する。2台ともフレームにゆがみがなかったが、検車スタッフは「翌日も出走する場合、仮に大きなゆがみがあれば、検車室の器具を使ってなおせるかを判断。なおせなければ、選手本人に代わりのフレームを用意してもらう。それが駄目なら欠場という流れになります」と、落車があった際の対応を説明した。

検車員が手にする自転車の検査表。選手ごとに作成されてフレームの傷や、タイヤが新品か否か、使用するギア倍数などが記載される
検車員が手にする自転車の検査表。選手ごとに作成されてフレームの傷や、タイヤが新品か否か、使用するギア倍数などが記載される

 検車は前検日に始まり、開催の最終日まで続く。選手ごとの自転車の検査表に、前検日にはメーカー名や使用するギア、タイヤが新品か否かなど記されている。開催が進むとギアの変更状況や、新たに生じた傷が書き込まれる。「開催中の検査は1台あたり、1日3度。朝の指定練習が終わってからと、発走前に2度。タイヤは側面も見て糸巻き状の部分に傷がないかを確認。空気圧が10気圧弱かどうかみる」。パンク防止への対策もよく分かる。

レース前に検車員が自転車を検査する様子
レース前に検車員が自転車を検査する様子

 ちなみに、落車した安藤孝正選手は2日目以降も出走し、2日目には目標が不発の展開をしのいで1着になった。「首の痛みも大したことがなく、自転車は何の違和感もなかった。いつも、スタッフの方によくしてもらっています。おかげで冷静に走れている」。多くのスタッフのはたらきが、選手の本領発揮を下支えしている。【野島成浩】

落車した翌日に見事勝利した安藤孝正
落車した翌日に見事勝利した安藤孝正