27日の小田原決勝10Rは、見応えがたっぷりあった。

小田原競輪で志佐明が今期8度目の優勝を果たした(写真は前検日)
小田原競輪で志佐明が今期8度目の優勝を果たした(写真は前検日)

 優勝したのは志佐明選手。同じく来期S級の佐々木孝司選手、S級特昇がかかった野口裕史選手、大ケガから立ち直った夏目新吾選手との4分戦。野口にたたかれると番手に飛び付き、最後はまくって勝った。これで今期は地元神奈川3場をいずれも制し、A級1、2班で最多の優勝8回を飾った。

 志佐明の名「めい」は、母が大好きなアニメ映画「となりのトトロ」に登場するキャラクター「メイ」が由来とのこと。そのキャラクターと同じように観察眼に優れ、何事にも一途に取り組んできた。そして来期、待望のS級初昇級を迎える。

S級特昇は成らなかったが逃げっぷりは光った野口裕史(写真は前検日)
S級特昇は成らなかったが逃げっぷりは光った野口裕史(写真は前検日)

 一途に走ったのは野口裕史選手も同じだった。3場所連続の完全VによるS級特昇が懸かった一戦。準決を終えるとすぐに「出切れないと後悔する。先行基本」と話したように、果敢に逃げた。7着に敗れたが、意思の強さを示した。陸上のハンマー投げから競輪への転向を決めて、そろそろ4年目となる。来年1月からの来々期は、ほぼS級入りが見込める。それでも「ダッシュを強化して成績が良くなったが、バックを踏むのが苦手だったり、力んだフォームになったり」と発展途上を自覚する。

 師匠の武井大介からは「小さいレースをするな」ときつく言われている。「山中秀将君と一緒に練習するときは、自分を脇本雄太君に見立ててくれる。うれしい。でも、早く強くなりたい」と発奮材料は多い。

 積極的な仕掛けを身上にする志佐選手と野口選手。来期は舞台が違えど、ともに豪快な仕掛けを見せてくれるはずだ。【野島成浩】