今年初優勝を飾った伊勢崎彰大(撮影・栗田文人)
今年初優勝を飾った伊勢崎彰大(撮影・栗田文人)

競輪、楽しんでいますか?

取手競輪場で行われていた坂巻正巳杯・日刊スポーツ賞(F1)は伊勢崎彰大の優勝で幕を閉じた。

この伊勢崎、直前に岸和田で開催されていた高松宮記念杯(G1)出場がかなわず、悔しい思いで仲間のレースを観戦していたという。奮起のウエートトレーニングの影響で今開催の初日、2日目は体が重かったそう。準決後「最終日(決勝)はあえて朝練もしないで、しっかり体のケアをして臨む」と話していたが、それが今年初Vという形で実を結んだ。おめでとう! 下半期の活躍が楽しみだ。

取材を受けるドミちゃんこと、デニス・ドミトリエフ(撮影・栗田文人)
取材を受けるドミちゃんこと、デニス・ドミトリエフ(撮影・栗田文人)

その決勝で人気を集めたのがデニス・ドミトリエフだ。決勝は後方から仕掛け遅れて3着に敗れたものの、今開催も世界屈指のスピードは随所に見せた。

5月小倉を走った後に自転車競技大会出場のためロシアに帰国し、新田祐大や深谷知広を相手にスプリントで優勝。その後再来日して立川と今回を走り、またロシアに帰国して競技の欧州選手権に参加するという。

さらにその後、再々来日して、来月の川崎ではワールドエボリューショントーナメントに出場予定。「ガイジンハ4ニンデス。どみチャン(自分のこと)、ぼでぃしゃー、ぶふり、ぱーきんすデス」と日本語で説明した。来日経験豊富で、フレンドリーなドミちゃん。選手間にも、報道陣にも人気は高い。

地元・久留米G3に向け、調子を上げてきた小川賢人(撮影・栗田文人)
地元・久留米G3に向け、調子を上げてきた小川賢人(撮影・栗田文人)

そのドミちゃんに決勝でマークしたのが小川賢人だ。父は89年花月園でG1日本選手権(ダービー)を制した小川博美氏。その小川賢人が決勝進出を決めた後、「今回は坂巻正巳杯ですよね。坂巻さんが優勝した91年一宮ダービーの2着が、実はオヤジなんですよ。今開催は何か縁があるなと思っていたんだけど、決勝までいけて良かった。次の(ホームバンク)久留米G3も頑張れそうです」と目を輝かせていた。87年入社の当方にとっては、涙ものの話。小川賢人、オヤジにも、そして、アフロ山崎“賢人”にも負けず、頑張れ!

復調気配の古豪・加倉正義(撮影・栗田文人)
復調気配の古豪・加倉正義(撮影・栗田文人)

最後はベテラン加倉正義に登場してもらう。98年の競輪王が、昨年後期にA級降下の憂き目にあった。今期S級に復帰し、4月に地元久留米で決勝3着、前場所広島で準優勝と復活の兆しを見せている。そして今開催も初日から3、2着で決勝進出(6着)。失礼を承知で「A級を走ったことで、逆に何か見えてきたものはある?」と聞いた。答えはこうだ。「競輪はS級でもA級でも一緒。ただ、S級で4、5着を取ってばかりいた自分が、例えA級でも“勝つ”ということを何度も経験させてもらったことは大きな刺激になった。自分は引退後のことは何も考えていない。自分には競輪しかない。だから、やれる限り、まだまだ頑張ります」。

加倉正義、頑張れ! 50代も半ばを過ぎた当方も、もう少しだけ頑張ります。【栗田文人】