自転車トラックワールドカップ(W杯)第3戦の香港大会が1日、無事に終了した。中距離では梶原悠未(筑波大)が女子オムニアムで金メダルを獲得。3つ目のエリミネイションで1位となった時は、しびれた。

4種目で争う中距離女子オムニアムで優勝した梶原悠未(撮影・山本幸史)
4種目で争う中距離女子オムニアムで優勝した梶原悠未(撮影・山本幸史)

男子スプリントでは深谷知広が2大会連続で銅メダル。日本勢14年ぶりのスプリントメダルとなった第2戦の英グラスゴー大会も驚きだったが、同じ相手をストレートで下した。2大会連続のメダルで、スプリントでの五輪出場をグッと近づけた。

3位決定戦を制しガッツポーズする深谷知広(撮影・山本幸史)
3位決定戦を制しガッツポーズする深谷知広(撮影・山本幸史)

さらに、小林優香が女子ケイリンで銅。香港のスター李慧詩に大声援が送られる中、ゴール前は狭いところを執念で追い込んでの3位。今後、そして暮れのガールズGPも注目だ。

ベロドローム近くの壁際に集められたレンガ。警官隊に投げつけたものが片付いていたもよう。近くの壁にはデモの主張と思われる落書きも(撮影・山本幸史)
ベロドローム近くの壁際に集められたレンガ。警官隊に投げつけたものが片付いていたもよう。近くの壁にはデモの主張と思われる落書きも(撮影・山本幸史)

さて、冒頭で「無事」と書いたが、香港のデモや警官隊との衝突は、今なお続いている。香港ベロドローム周辺は、親子連れが自転車で遊ぶ姿もあったが、駅から一帯の信号は壊され、車と人が互いの意思疎通で通行している状態だった。壁にはデモ隊の主張と思われる落書きもあり、壊れたレンガが集められていた。この街でもデモがあったことがうかがえた。

尖沙咀近くの海辺の公園。土曜日の午前中はランニングをする人もおり、平和そのもの。日曜夜、この近くで警官隊と暴徒の衝突が…(撮影・山本幸史)
尖沙咀近くの海辺の公園。土曜日の午前中はランニングをする人もおり、平和そのもの。日曜夜、この近くで警官隊と暴徒の衝突が…(撮影・山本幸史)

午前中に立ち寄った繁華街は平穏で「デモなんてあるの?」と思うほど。だが週末になった11月30日、12月1日夜には、九龍の繁華街・旺角(モンコック)や、尖沙咀(ツィムサーチョイ)で、道路を封鎖した若者と警官隊との衝突事件が発生。夜も人が多く、高級ホテルも近くにある地域だが、駅の入り口に火炎瓶が投げられ、警察は催涙弾を放つ生中継のニュース映像は、衝撃的だった。デモというより、今や自然発生的に人が集まり、暴徒化している印象だ。

地元メディアは、大会後に李慧詩が「スポーツで香港魂を示し『一日も早く安全になるように』と語った」と報じた。香港が誇る世界女王の思いは、平和に暮らす香港の人たちの思いだと思う。

個人的にも、初めて海外出張したのが香港で、夜も安全だった印象が強く、今の状況には心が痛む。

今週末8日には競馬の国際G1、香港国際競走がある。地下鉄シャティン駅の隣、大学駅は破壊され終日閉鎖。シャティンに行く地下鉄の運行ダイヤも乱れていた。地下鉄や空港からの特急の終電も早まった。デモの日時や場所は、総領事館のホームページなどに載っている。日本から行かれる方は、くれぐれも気をつけてください。【山本幸史】