人気ガールズレーサーの長沢彩（32＝福岡）が昨年8月、富山での完全優勝を最後に産休に入った。出産予定日を50日後に控えた彼女が、移籍した九州での新生活、ガールズケイリンへの思いなど、現在の心境を語ってくれた。【取材・構成＝松井律】

名古屋から福岡に移って半年がたちました。住んでいるのは、博多から車で1時間以上もかかる田舎町。以前は名古屋競輪場の近くだったので、混雑がすごくて、ちょっとの移動でも大変でした。こちらはのどかで、そのストレスはなくなりましたね。夫（佐藤健太）には私の願いで名古屋に来てもらっていましたが、彼も環境の違いによるストレスはあったみたいです。

祖母の畑仕事を手伝う（夫・佐藤健太のSNSより

とにかく九州は食べ物がおいしくて、体重のコントロールが大変です。自宅では夫のおばあちゃんが作った新鮮な野菜を毎日食べているんですよ。

ガールズのレースは、ほぼ毎日見ています。子供ができて、九州に行くとなった時には「このまま引退するのかな」なんて思っていたし、名古屋を離れることに心残りもありました。それは「私が愛知のガールズを引っ張って盛り上げたい」という思いがあったからです。愛知の後輩たちの走りを見ていると「この子はもうちょっと成績を出せてもいいのにな」なんて感じることもありますが、みんな頑張っていて頼もしいですね。

私自身は、けがで休んでいた時は早くレースに戻りたいと思っていましたが、今回は少し違う感覚です。現場を離れてしまった不安よりも、おなかの子が生まれてくる楽しみが勝っているのでしょう。

体はコンスタントに動かしています。妊娠7カ月まではウエートトレーニングも続けていました。

妊娠8カ月の現在でもワットバイクで体を動かしている

大きいおなかでワットバイクにも乗っています。じっとしているのが苦手なので、気晴らしにもなるんですよ。8カ月あたりから体調が不安定な日もあって、今は軽いウオーキングぐらいにしています。

この期間ではっきり分かったことがあります。それは、私が性格的に専業主婦には向いていないということです（笑い）。

今は新たな目標もできました。「出産後にまたビッグレースに乗る」。そんなストーリーを妄想しながら、また皆さんの前で走れる日を楽しみにしています。

50日後には新しい命が誕生する予定だ

私が復帰を目指すことは、夫も理解してくれています。時期については彼と相談しながら、ゆっくり考えます。今は、何よりも無事に出産することが第一ですから。（長沢彩）