河内桜雪
河内桜雪

【フレッシャーズ紹介】と題して、ガールズルーキー河内桜雪(19=群馬)をピックアップする。いま、5月にデビューした122期生(総勢19人)でただひとり、本格デビューから全て決勝進出という快進撃。愛くるしい表情と隆々とした太ももは、まさに新たな「ツヨカワ」として注目を集めている。その魅力を日刊スポーツは8月31日付本紙「Girl,s Collection(ガールズコレクション)2022」でお伝えしており、今回はスペースの都合で未公開だった画像も掲載しながら、あらためて近況をリポートしたい。

愛車と一緒にポーズを取る
愛車と一緒にポーズを取る

さらに勢いづいてきた。自転車競技の名門・前橋工を卒業してすぐ競輪選手養成所に入り、訓練11勝、総合3位の成績を残して5月にデビュー。ルーキーシリーズ3場所は「3位らしく走らないといけない」という思いが気負いとなり、最終戦の6月大宮決勝2着の他は精彩を欠いた。しかし、これは後の活躍から参考外の出来事になる。

日ごろ練習するグリーンドーム前橋をバックに「Y字バランス」を決める
日ごろ練習するグリーンドーム前橋をバックに「Y字バランス」を決める
ジムでトレーニングに励む
ジムでトレーニングに励む

夏真っ盛りになるとリズムは一変した。幼い頃に新体操を習い、「こんにゃく」と言うほど柔軟な体が7キロの減量でさらにバージョンアップ。狭いコースをかきわけ、他と並走もこなす。時にはベスト10入りする実力者をぴたりと追い、ゴール前では迫るかという伸びも見せる。その技術はまるでベテラン選手のよう。人見知りせず、誰彼からもアドバイスを求める物おじしない性格も、先輩選手と戦う本格デビュー後に生きている。

指定練習で親友から贈られた横断幕の前を通り過ぎる。「Strong Cherryblossom Snow」に桜雪の活躍への願いが込められている
指定練習で親友から贈られた横断幕の前を通り過ぎる。「Strong Cherryblossom Snow」に桜雪の活躍への願いが込められている

河内は8月平塚を終えて、手応えをつかむと同時に課題も見いだす。「平塚では、自転車がいい感じで流れていく感覚があったんです。2着になった2日目はもう迷わずあの作戦(山原さくらマーク)と決めて、それができた。ただ、自力勝負ができないから、途中でちょっとでもミスしたら駄目」。決勝進出を逃さない秘訣(ひけつ)は高い集中力のたまものでもあった。

師匠の滝野勝太が河内桜雪の写真を手にして話す
師匠の滝野勝太が河内桜雪の写真を手にして話す

師匠の滝野勝太(92期)は河内が幼い頃からよく知る1人。「河内の父さんと自分のいとこが知り合いで、河内が小学生になる前からの付き合い。普段はおしとやかで、何かふわっとしているけど、頑張り屋さんで、きつい練習でも音を上げない。これからもケガに気を付けて頑張ってもらいたい。こちらは師匠としていい刺激を受けている」。親戚縁者のような弟子の順調な船出を喜び、同時に自身へのカンフル剤にする。

公私で仲がいい先輩・本多優(120期)の等身大ボードとともにポーズ
公私で仲がいい先輩・本多優(120期)の等身大ボードとともにポーズ

ガールズケイリンの魅力を広めようと、自転車を降りれば各種のイベントや媒体に登場する。レースから練習、体のケア、気持ちのリフレッシュというサイクルの合間にメディアの取材にも応じ、恋する暇もないのではと要らぬ心配も抱かせる。「取り上げていただいたり、ありがたいことです。恋!? 出会いがないですよっ!」。ツヨカワへの道をまい進する最年少19歳ガールズ。明後日6日に始まる岸和田ミッドナイトでも快走するはずだ。【野島成浩】

父に譲られたアメ車が移動で大活躍
父に譲られたアメ車が移動で大活躍
撮影の合間に自身をチェック
撮影の合間に自身をチェック

◆河内桜雪(かわうち・さゆき)2002年(平14)12月31日、前橋市生まれ。前橋工卒。19年全国高校選抜500メートルタイムトライアル4位。21年5月に競輪選手養成所に122期生として入り訓練成績11勝、総合3位。卒業記念34着。総取得賞金246万9000円(4日現在)。156センチ、54キロ、太もも59センチ、背筋力100キロ、血液O型。デビュー前から各種メディアに取り上げられ、ツイッターのフォロワーは新人として異例の6500人を超えている。

つかの間の休息にとお出かけ。この日は軽井沢へ
つかの間の休息にとお出かけ。この日は軽井沢へ