有言実行だ!! 松浦悠士(30=広島)が、第75代ダービー王に輝いた。2年ぶりの日本選手権(ダービー)決勝で松浦が清水裕友の先行に乗り、3車横一線でゴールする大熱戦を微差+微差で制した。今年の獲得賞金は1億円を突破し、3年連続のKEIRINグランプリ(GP)出場も決めた。2、3着には郡司浩平と佐藤慎太郎が入った。

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肘を引っかけた、頭突きをこらえた。松浦が歴史的僅差を制して頂点に上り詰めた。「(内の)慎太郎さんには行かれていないと思ったけど(外の)郡司君にはやられて2着かと…。頑張ってくれた(清水)裕友が(勝っていると)言ってくれたけど信じられなくて(決定まで)長かった」と振り返った。3着までの着差が微差+微差の1着に「まだ実感が湧きません」と、ようやくホッとした笑顔を見せた。

今年年頭から「ダービーを勝つ」と公言。だが、シリーズに入ってみると、いまひとつ調子が上がらない。後ろから抜かれるレースが続き「ダービー、ダービーって言い過ぎたかも」と弱気になった時もあった。優勝後「目標にしていた割にはピークに持ってこられなかった。調整が間違っていたのかも」と苦しい6日間だったことを吐露した。

それでも勝ち切ったのは日頃の節制のたまものだ。大のスイーツ好きだが、直前はドーナツ1個で我慢。「基本的に甘い物は(アスリートの)体にはいいものではない。ただ、我慢し過ぎるのも良くない。精神的な癒やしですね」。今年前半の大目標を達成した今「スイーツをたらふく食べたい」と笑わせた。

3年連続GP出走を決め「今後は裕友とともに、できるだけ多く中四国の仲間をGPに連れていきたい」とラインの戦力アップを期す。ただ、その前にやることがある。この日は母の日。用意したタオルとともに、まずは最愛の母に日本一になったことを報告する。【栗田文人】

◆松浦悠士(まつうら・ゆうじ)1990年(平2)11月21日、広島市生まれ。市立広島工卒。競輪学校(現養成所)98期生として10年7月に熊本でデビュー(1-3-2)。18年12月に地元広島でG3初優勝。19年小倉競輪祭でG1初優勝。G1は20年名古屋オールスター、G2は20年ウィナーズC優勝。通算951戦269勝。通算獲得賞金は5億3694万9511円。168センチ、73キロ。血液型O。