【ヤマコウの輪界見聞録】

 先日の名古屋G3は、「シャバーニ(名古屋・東山動植物園のイケメンゴリラ)」吉田敏洋が優勝した。優勝インタビューは地元Vということもあり、敏洋が登場した時には観客の声援もクライマックスに。そこで気持ちも高揚した彼は、いいことを言おうと思ったのか、コメントを置きにいった。すると、場内の興奮も落ち着いていった。リアルな言葉は大切だなと痛感した(笑い)。

 今日からの玉野G3は、地元のエースは岩津裕介だ。一流の選手にもまれて走ってきたので、地元で勝つとはどういうことなのか分かるはずだ。期待したい。

 その地元戦で、若手のエース格となるのが取鳥雄吾だ。しかし、レースから見えてくるのは迷走といったところか。「いつまでも先行することにこだわっていたのでは勝ち切れない」という気持ちは分かる。それは取鳥に限らず、今回登場する吉田拓矢や新山響平らも同様だろう。

 どんな相手でも力でねじ伏せられる新田祐大ならともかく、村上義弘や武田豊樹を、なぜ先行選手と私は思うのか。それは最初からまくりを前提に作戦を組み立てないからだ。「王者の前攻め」と、「策のない前受け」は違う。点数をいくら積み上げても、策のないレースはもろい。

 このレースは、王者の前攻めとなりそうなのが三谷竜生。ならば2番車の取鳥は、外枠の自力選手を有効活用して最終的に先行すればいい。それを覚えることによってG3やG1の戦い方が見えてくるはずだ。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)