【栗田文人・車券放浪記】

◆12R いよいよ深谷の出番だ。2日目青龍賞は7着だったが、単騎に加えて前のあおりを受けたもので、結果は度外視していい。「足がないですね」と振り返る顔に暗さはなかった。

ナショナルチームの香港遠征(チームスプリントで金メダルなど)から帰国後はコロナ禍で2週間の隔離。その後は前検日前日までハードな練習をこなしており、疲労を残しての岸和田入りだった。だが、レースを走りながら体調は日に日に回復。同時に4月の四日市G3以来だった“競輪”の自転車の感覚も戻ってきており「(体調も自転車も)だいぶ良くなってきた」とV字回復を口にする。

朗報も待っていた。12Rは北日本勢が大挙5人。これに並ばれるとかなり厳しい戦いになるところだったが、大槻が「(決勝進出は)2着権利だし、並ぶことはできない。自分が竹内さんの前で何でもやっていくことにしました」と、小松崎-佐藤-永沢ラインと別線を選択した。初手から小松崎の番手で競ることはないが、流れ次第で引けなくなればヨコで勝負するケースも考えられる。これを聞いた深谷は「それは良かった。並ばれるよりはずっといい」と頬を緩めた。細切れ戦なら勝機ありだ。

番手松谷の師匠である佐々木龍也(引退)はナショナルのスタッフとして深谷が公私にわたって世話になっており、いわば“同門”。「2人で決めたい」の言葉を実現してみせる。

3連単は(1)=(2)(4)-(2)(4)(9)(3)(8)。