王者が故郷に錦を飾った。単騎で挑んだ古性優作(31=大阪)が、最終2角まくりで地元G1初制覇を決めた。今年2月の全日本選抜に続いてG1は3冠目。昨年のKEIRINグランプリ(GP)と合わせ、4つ目のビッグタイトル獲得となった。2着は古性を追った山田庸平、3着には園田匠が突っ込んだ。


高松宮記念杯を制してガッツポーズする古性優作(中央)、2着・山田庸平(左から2人目)、3着・園田匠(左)
高松宮記念杯を制してガッツポーズする古性優作(中央)、2着・山田庸平(左から2人目)、3着・園田匠(左)

文句なしの、王者の走りだった。前がもつれた最終2角。古性は迷わずペダルを踏み込んだ。その姿はまるでGPの再現。地元のファンに、あの静岡での走りを見せつけた。「俺がNO・1や!」と言わんばかりに、右手人さし指を天に突き上げて、喜びを爆発させた。


普段は手厳しい地元ファン。ただ、この日は違ったという。「足見せ(選手紹介)のときから声援がすごかったので、ジーンとくるものがあった。優勝したら泣くやろうなあ…と、思ったら泣かなかったです」。見事なオチで笑わせると「よっしゃ! が大きくて、泣くの超えました」とほほ笑んだ。


高松宮記念杯を制し、優勝カップを手に笑顔の古性優作
高松宮記念杯を制し、優勝カップを手に笑顔の古性優作

開催前、股関節を痛めるアクシデントがあったと明かす。ただ、初日特選は野原雅也が、そして白虎賞と西準決では、年上の練習仲間である岡崎智哉が前で風を切り、決勝まで導いてくれた。近畿の仲間の支えが、岸和田では初めての地元勢Vをもたらした。


その岡崎は「いったいいくつ取るんでしょうね」と感嘆する。初めてのG1制覇となった昨年8月のオールスターから、10カ月で4つ目のタイトル。さらに今年は、日本選手権の脇本雄太と合わせて近畿勢がG1を独占している。古性も「1番車の責任は果たせた。要所、要所でいい成績を残せているし、今のところ100点」と胸を張る。


それでも慢心はない。「1着が少ない。精度を上げたい。常にこの1戦が最後というくらいの気持ちで走りたい」。隙のない王者は、まだ止まりそうにない。【山本幸史】


 
 

◆古性優作(こしょう・ゆうさく)1991年(平3)2月22日、大阪市生まれ。清風高卒。BMXから転向。競輪学校(現養成所)100期生として11年7月に岸和田でデビュー(予選1、準決1、決勝1)。タイトルは昨年8月いわき平オールスター、同12月静岡GP、今年2月取手全日本選抜に次いで4つ目。通算920戦275勝。通算獲得賞金は6億134万3700円。168センチ、77キロ、血液型O。