【大上悟・オレに任せろ】

 ◆11R:決勝  競輪人生をかけ、稲垣裕之が通算12度目のG1決勝の大舞台に立つ。京都勢は熟考を重ねた上で準決同様に脇本雄太に託す。大阪勢とは近畿別線を決断。勝利に最も近い脇本の番手は、再度稲垣が得た。「準決と同じく責任ある位置を回る。力を出し切る」。悲願のG1初制覇の言葉はあえて、のみ込んだ。最後まで緊張感を漂わせたまま、宿舎移動のバスに乗り込んだ。

 もう負けるわけにはいかない。もう悔し涙で終わることはできない。初のS級S班の今年は波乱続き。2月の全日本選抜は決勝で逃げた脇本を追走し、まくってきた新田祐大をブロックしたが落車失格、右鎖骨を骨折した。3月の名古屋・日本選手権を負傷欠場、全日本選抜の失格で6月の高松宮記念杯の参戦を逸した。8月のオールスター決勝は赤板先行した村上義弘を追走し、最終1角から番手まくりを放つが、ゴール寸前で後位の岩津裕介に差し切られ、悔し泣きした。

 「すべては自分のやったこと」。言い訳なしで悔し涙の歴史に終止符を打つ。準決では脇本をゴール前で差し切って上位独占。それを再現するだけだ。別線の大阪勢も力勝負で臨むが、たたき合って近畿勢で共倒れだけはないとみた。圧倒的スピードで逃げる脇本を追走。まくる中部勢や平原康多の反撃には狙いすました番手まくりを放つ。村上とのゴール前勝負を制し表彰台の頂点で歓喜の男泣きだ。3連単は(3)(5)から総流し。