【大上悟・オレに任せろ】

 ◆12R

 光と影が交錯した超高速バンクで完全復活をかけた男の大舞台が開幕する。深谷知広の栄光と挫折はここから始まった。6年前の11年6月高松宮記念杯でG1初制覇を飾り、G1優勝の最速記録を塗り替えて「深谷時代」の到来を告げた。そして、14年9月G1オールスターで落車。左鎖骨を骨折して低迷を続けた。

 復活へ、自ら選択したのはナショナルチームへの回帰だった。ナショナルチームでトレーニングに専念するために拠点を静岡・伊豆ベロドロームに移した。競輪参戦を終えると、そのままナショナルチームに合流し、今回もオフなしで前検入りした。「常に疲れはある。その中でいかに戦っていくか。競輪人生で今、一番練習している」。

 自分との闘いの中で8月オールスターは2勝を挙げて決勝進出し、前場所の青森G3を制覇した。ナショナルチームのハードメニューを消化することが、着実に競輪の成績に反映されている。3年ぶりのKEIRINグランプリ(GP)参戦へ選考用獲得賞金ランク8位と圏内。直前の松戸G3で完全Vを飾った諸橋愛が同7位に浮上した事には「諸橋さん以外の人を応援していた(笑い)」。ジョークを飛ばした直後に「G1で優勝すれば関係ない」と3度目のG1制覇をにらんだ。

 開幕バトルは復活への試金石だ。主導権奪取が濃厚な早坂秀悟-新田祐大-渡辺一成とはナショナルチームの仲間でもありライバルでもある。徹底先行の早坂が青板から仕掛けて新田が2段駆けの態勢に持ち込む。ハイスピードバトルに平原康多、村上義弘が力勝負で抗戦して、北勢を押さえにいけば前団がもつれる。深谷はそのチャンスを逃さず、番手浅井康太を連れて一気にカマす。ゴールで差し迫る浅井と中部ワンツーだ。3連単は(8)=(7)から総流し。