【栗田文人・車券放浪記】

武田の表情が明るい。「平原君が強かった。でも、僕もすごくいいですよ」。初日理事長杯は南の番手奪取から追い込んだ平原を追走し、半車身差まで迫った。「平原君が(まくりではなく)差しに行ったけど、自分の伸びも良かった。調子はいいですよ」とあらためて好気配を強調した。

近況は落車の影響に苦しんできたが、今開催は前検日から目が輝いていた。直前の練習では取手で、弟子の吉沢を相手に先行して追いつかせないシーンも。「以前は(基本的に)トレーニングで(調子を)上げることに重点を置いてきたけど、最近は自転車の部品とかセッティングとかでも上げられるようになってきた」と進化を口にする。吉沢も「武田さん? 調子良かったですよ」と証言。今回は仕上がっている。

2日連続で前を回る平原は、新フレームにかなりの手応えを感じていた。ただ、初日が追い込み勝ちだっただけに準決以降を考えれば、ここはもう少し長い距離を踏んでおきたいのでは? この問い掛けには「流れ次第でしょう。決め過ぎると臨機応変に動けませんから」とサラリと流したが、否定もしなかった。先行有力な脇本ラインが2車。番手で粘るよりは、得意の中団確保からのまくりとみるのが正解だ。

となれば、武田に展開が向く。もともと当地は14年オールスターを制した相性のいい舞台。今日はキッチリ差し切る。3連単で(9)=(7)から3着(5)(1)(2)(3)、(9)(2)から3着(7)(5)(1)(3)。