【大上悟・オレに任せろ】

 ◆10R:準決 

 近畿の総大将・村上義弘のいない舞台で、継承者・稲垣裕之が責任を果たす。初日特選はまくり不発に終わったが、2予10Rは三谷竜生の番手絶好からワンツーを決め、準決切符をものにした。「番手の仕事は難しい。三谷の番手なら狙われる位置。最後の直線もどこまで内を締めていいのか迷った。村上さんのすごさが分かる」。そう話した稲垣だが、若手機動型の台頭著しい近畿勢にあって、責任ある番手のスキルを磨いている。

 何としても初代王者の座をものにしたい。村上義が直前練習中の落車で鎖骨を骨折し、緊急欠場。初日には落車した市田佳寿浩が選手生命も危ぶまれる大きな骨折で緊急入院。「あの村上さんが直前欠場されるほどで、市田さんも…」。口元を引き締めて“2人の分も”の言葉を、あえてのみ込んだ。

 玉野G3決勝は村上義の不言実行に身震いさせられた。自力勝負を敢行、中団で内に包まれて苦戦しながらも、大外を踏み上げて原田研太朗や吉田拓矢を撃破した。今度は稲垣が村上イズムを敢行する番だ。

 準決10Rは再度三谷の番手で、3番手を伊藤信が固める近畿3車の必勝態勢。別線のダッシュ鋭い新田祐大、原田という機動型に稲垣が体を張る。逃げ粘る三谷をこん身のガードで守り切って三谷とゴール前勝負に持ち込む。3連単は(7)=(3)から総流し。