初日はガールズGPが行われる。8年たって選手のレベルも上がり、コレクション級のレースでは誰が先行するのか読むことも難しくなった。

その中で気を吐くのが奥井迪だ。彼女の走りは終始「先行」と一貫している。だから、彼女が走るレースは展開が読みやすい。奥井が先手を取って、誰が好位を取ってまくるのか、レースのイメージが浮かびやすい。

しかし、奥井も決して若くない年齢なので、昔のイメージのままで走ることが難しくなってきた。そこに、今年のガールズドリームに選ばれなかった不運が重なる。「先行の私をファンは望んでないのか」と考えた奥井は、別府のサマーナイトフェスティバルで「先行やめます」といったん結論を出した。そこには、なかなか結果が出ない葛藤があったに違いない。展開を考えて自力を出すスタイルを模索するが、違和感があることは否めなかった。

奥井迪(左)と肩を組みガッツポーズするヤマコウ。優勝の可能性は十分とみた(撮影・鈴木正人)
奥井迪(左)と肩を組みガッツポーズするヤマコウ。優勝の可能性は十分とみた(撮影・鈴木正人)

そして競輪祭。滑り込み7位でガールズGPを決めた彼女は、前検日「先行で戦う」と迷うことなく答えた。「昨年補欠で出られなかった時にファンの方から『奥井さんの先行が見られなくて寂しい』と言われた。だから、位置取りも覚えた今の私が先行して、私のファンを日本一にしてあげたい」と話してくれた。

ガールズGPは、優勝しなければ意味がない。冬の立川が重いことも考えれば、みんな仕掛けは遅くなる。奥井待ちのレースになると思うので展開は向きそうだ。力では児玉碧衣、小林優香が抜けているが、奥井の優勝の可能性は十分だ。(日刊スポーツ評論家)