松山G3が、競輪では3つ目のグレードレース無観客となる。無観客は競輪ばかりではない。今行われている大相撲春場所などがそうだ。力士の気持ちになって考えると、立ち合いから、ぶつかり合うまでの歓声は、力士の背中を押し、プラスαの力を生み出すと想像できる。

競輪に置き換えると、発走機に着いてから残り2周が当てはまる。ファンの歓声、やじは選手に聞こえている。それで自らを奮い立たせる選手もいれば、その声を参考にして走り方を変える選手もいる。現場の声とレースは対の関係であり、名勝負は観客なしではあり得ない。ミッドナイト競輪は本流ではない。有人のレースが選手を育てる。いろんな事情があるので仕方ないが、早く通常の姿に戻ることを切に祈る。

ヤマコウは、松浦悠士マークの守沢太志に注目した
ヤマコウは、松浦悠士マークの守沢太志に注目した

特選、松浦悠士が全日本選抜決勝で落車し、それ以来のレースとなる。幸い骨折はなかったが、肩の打撲がひどく、1場所休んで今節に挑むことになった。昨年の競輪祭、清水裕友の番手からG1を初制覇し、GPも清水-松浦の並びだった。私はこのまま並びが定着すると思っていたら、全日本選抜決勝は、松浦の先行で清水が初優勝した。しかも、松浦は自分のタイミングで主導権を取った。ここが彼のすごみだと思う。

落車明けで、いろいろと感じたいことがあるだろうから、私は最終ホーム、松本貴治-渡部哲男をカマしにいくのは彼だと思う。その時、展開有利に運んでいるのは、番手の守沢太志ではないだろうか。(日刊スポーツ評論家)