地元期待の川口聖二は、準決に乗れなかった。競輪場に入る前は、SNS等で威勢がよかったが、ふたを開けると地元の重圧に負けた。

気合を入れて打席に入るも、一度もバットを振ることなく3球三振。それで落ち込んでいるのだから、ノムさん(野村克也監督)流に言うと「落ち込む資格がない」だ。これから何回も岐阜G3を走るのだから落ち込まない事。これが先輩からのアドバイスだ。

野原雅也(右)を取材するヤマコウ
野原雅也(右)を取材するヤマコウ

準決8Rは、郡司浩平の力が抜けている。予2・8Rの上りタイムが前半10秒8、後半11秒1。ホーム線の前から仕掛けてこのタイムは驚きだ(ちなみに予2・9Rの松浦悠士は後半11秒3)。そんな郡司に付け入る隙はあるか。

私は1番車の野原雅也の存在が気になる。初日、雅也が小原丈一郎をカマしたスピードは目を引いた。番手の渡部幸訓の激しいブロックに引っかかって失速したが、小原の番手で休むことなくまくった。ここに雅也の「力の出し惜しみはしない」という強い意思を感じる。

今、近畿の選手は、脇本雄太の番手を回る資格があるかどうかが一つの目的になっている。雅也にそのことを聞くと「いつか回ってみたい」と言う。福井G3初日は回ろうと思えば回れた。しかし、地区あっせんということもあり雅也が1歩引いた。福井の開催を振り返って思うことは「ぶれない心」だと分かった。

準決は郡司がいて厳しい戦いになる。「勝負どころで前にいれば何とかなる」という雅也は、トップスピードでは引けを取らないだろう。1周カマシに持ち込めば、稲川翔の援護で穴目として期待できる。(日刊スポーツ評論家)