私はヤングGPの共同記者会見を聞きながら、この原稿を書いている。質疑応答をする選手は、ひのき舞台に立つような晴れやかな表情だった。

ただ、この日までライン構成は分からなかったので、GPと同じ20日に会見をやってくれたら、当事者やファンも喜ぶと思った。

20年平塚は松井宏佑が8番手からまくった。21年静岡は町田太我の番手にはまった高橋晋也マークから、小原佑太が外を強襲した。いずれも足をためた選手が優勝した。

足をためることと消極的に見えることは紙一重であり、見極めが難しい。ただ、結果がその後の成績につながるかどうかは別問題。必ずしも優勝した者の活躍が保証される世界でもないから、なおのことだ。


ヤンググランプリの橋本優己(左)山口拳矢(右)にエールを送るヤマコウ(撮影・鈴木正人)
ヤンググランプリの橋本優己(左)山口拳矢(右)にエールを送るヤマコウ(撮影・鈴木正人)

例えば山口拳矢。彼は「自分には町田のような先行力はないので、位置取りをしなければ勝てない」と思って普段のレースに取り組んでいる。

逆に、犬伏湧也は、カマシ先行だけでは上位では通用しないと思い「意識して2周駆けるようにした」と話した。犬伏と同じく1年デビューが遅い吉田有希は「(走り方を試行錯誤して)頭を使う1年だった」と振り返る。各選手がテーマを持ち、その集大成がヤングGPでありGPだ。

養成所停学中に拳矢は橋本優己に支えてもらっていたようで、2人で決めたい気持ちが強いのだろう。先行一本の町田、長い距離を踏めるよう意識する犬伏、位置を取り先行も考える吉田、戦況を見る寺崎といった構図か。

9人が持ち味を出したいいレースを期待する。(日刊スポーツ評論家)

※ヤンググランプリのヤマコウ印は、次男・山口拳矢が出走しているためありません。