渡辺一成(34=福島)が大会初勝利を飾り、第14代「夜王」を襲名した。先行した深谷知広の番手に平原康多が飛びつき、菅田壱道のまくりの外をさらにまくる圧勝劇。ナショナルチームの底力を見せつけた。2着にもナショナルの深谷が粘り、3着には松浦悠士が入った。ガールズは先行した梅川風子の2番手につけた石井寛子(32=東京)がゴール前差して初制覇。人気の小林優香は落車失格した。

 これが、ナショナルチームの脚力だ! 渡辺一成が、14代目の夜王に上り詰めた。菅田壱道を追走から自力に転じて、前団を一気にまくり大会初制覇を飾った。2着も同じナショナルチームの深谷知広が粘った。世界と戦う日本代表たちが、真夏の夜の祭典を盛り上げた。

 「壱道がいいタイミングで行ってくれました。タテ足勝負をしてくれたのがうれしかった」。レース後、息も絶え絶えに口を開く姿は普段はあまり見せない。それだけ、限界を超えた脚力を発揮した結果だった。

 競技がメインのため、競輪から離れているが、脚力は34歳にしてなお進化している。今月6~8日に伊豆ベロドロームで開催された競技大会のジャパントラックカップでは表彰台こそ逃したが、200メートルで10秒を切るのはチームでは当たり前。それだけの豪脚を誇るからこそ、まくり合戦の上をまくれた。

 次戦は地元のG1いわき平オールスター。「連覇できるように、また北日本で優勝者を出せるように」と宣言した。競技で培った脚力で競輪ファンを再びうならせてみせる。【山本幸史】