第53回日刊スポーツ杯優勝戦は1号艇の川野芽唯(33=福岡)がイン逃げで制した。川野の優勝は昨年2月児島以来で今年初。水上パレードからピットに戻ると、白い歯を見せて「来年へ弾みがつく」と喜んだ。

当地は過去3度優出して2度優勝した実績がある水面。今節は予選2位通過から準優まで6勝すると、トップ通過の竹井奈美が優出漏れで優勝戦1号艇が巡ってきた。

しかし、勝利の女神を振り向かせるのは簡単ではなかった。「ペラが合ってなかった」と調整をやや外し、直前の第10R、11Rで1号艇が立て続けにフライングする様子を目の当たりにした。レースではコンマ07のタイミングで好スタートを切ったが、2コースから強攻した落合直子を振り払うまで手間取った。「(1Mで)焦って握ってしまった。ただ、けっこう集中できた。プレッシャーに負けては駄目と言い聞かせた。よかった」。ほんのわずかな間の揺れ動く心理を思い起こして安堵(あんど)した。

「戸田は不思議と調整が合う。九州の次に走らせてもらっている水面」。通算11度の優勝のうち、3度勝った好相性の戸田で存在感を見せた。今年は児島一般戦(14~19日)とG3徳山クイーンズクライマックスシリーズ戦(26~31日)が控える。「残り2つ、しっかり走る」。トレードマークのスマイルを見せながら好走を誓った。