前田滉(20=愛知)が12R優勝戦で2コースまくりを決め、うれしい初優勝を決めた。

優勝戦は2コースから迷わず強気のまくりが、鮮やかに決まった。これも今節を戦ってきた経験がものを言った。「迷わず1Mはまくりでした。1回(優勝戦1枠の)浜崎誠さんと枠番が一緒にレースがあった(初日7R=浜崎1着、前田2着)。その時に浜崎さんは、すごく(1M)落として回られてたんで、それを頭に入れて。優勝戦もそうなるだろうな、と」。狙いはどんぴしゃ。一気に握って攻めると視界が開けて楽々、先頭に立った。

「1Mを抜け出してやったあ~と思いました。あとは慎重にと思って」。落ち着いてトップゴール。優勝戦を迎えるにあたり「ペラはたたきませんでした」。ずっとチルト1度で乗っていたが、優勝戦はいろんなチルト角度を試して、最後は0・5度に下げた。「1度だと行き足寄りになっていた。チルトを0・5度に下げたことで、スリットラインからの加速力が良くなり、水のつかみも良くなり、ターン回りも良くなったのでは。しっかり押してくれました」。調整をしっかり合わせて4度目の優出で初優勝を引き寄せた。

精鋭ぞろいの前田3きょうだい。彼らにとって20年は一気に飛躍の年になっている。長男の篤哉(あつや)が、10日の桐生で初優勝すると、21日の多摩川でルーキーシリーズ連続Vを飾った。その翌日に弟の滉(ひかる)が初優勝。双子の兄にあたる124期の翔(かける)も、4月とこなめで初優出を決めた好センスの持ち主だ。

「兄貴(前田篤哉)が優勝したのもあって、ボクもできたらかっこいいなって思っていました。それができて良かった。A1級が来期の目標。せっかく3人兄弟(篤哉、翔、滉)で選手なので、3きょうだいで記念を走れるような選手になれたら…」。ボート界には篠崎元志&仁志の篠崎ブラザーズのように、多数のきょうだい選手が活躍した例がある。前田ブラザーズもその一員に加わることができるか、今後の活躍が楽しみだ。