前田紗希(28=埼玉)が閉塞(へいそく)するコロナ禍の中で、社会貢献活動TUGBOAT PROJECT(https://tugboat-p.jp/)リーダーとして支援を呼びかけている。本業のボートでは、初のA2級昇格を目指して日々奮闘する。

「生きている価値は、どれだけ人の役に立てているかが大きいと思うの」。某人気テレビタレントが言っていたことを、前田は実行に移している。

昨年5月に社会貢献活動の「TUGBOAT PROJECT」を立ち上げ、9月から同じ女子レーサーに協力を仰ぎ、オリジナルTシャツを制作して販売。その収益を寄付し、子ども食堂を支援する。「自分自身が幸せを感じているんですよ。家族とは仲が良くて優しいし、友達関係もいいので。でも、これまで自分のことしか考えていなくて、人にいいことをしてこなかったと思い始めたのがきっかけです」。

普通ならその幸せが長く続くことを願ってしまうが、前田はたくさんの人に幸せになってほしいと行動した。「最終的な目標は、戸田のレース場に子ども食堂を作りたい」と大きな夢を語る。TUGBOATは、選手とボートファンをつなげるという意味。多くの人に知ってもらえれば、支援の輪は何倍にも大きくなる。みんなに笑顔を届けるために、前田は走り続ける。

◆前田紗希(まえだ・さき)1993年(平5)2月21日、埼玉県生まれ。115期生として14年11月戸田でデビュー。16年4月尼崎で初勝利。19年12月江戸川で初優出を達成した。父光昭は通算22度の優勝を誇るレーサー。158センチ、48キロ。血液型O。