<W杯アジア最終予選:日本2-0オーストラリア>◇B組◇31日◇埼玉

 ここへきてハリルホジッチ監督の「攻撃的守備」がやっとはまった。スタメンの中盤3人(井手口、山口、長谷部)はいずれも守備的な選手で、ゲームを作る選手ではない。これは今までの日本サッカー文化には絶対になかったものだ。

 攻撃的守備とは、前線から仕掛けて相手の特長を消すこと。3年前のW杯ブラジル大会でザッケローニ監督は「自分たちのサッカーをやろう。持ち味を出そう」と強調したが、世界に勝てなかった。ハリルホジッチ監督の考えはその逆で、まずは相手の長所を消しにいく。この日はボールをつなぐオーストラリアを高い位置で止め、そこからの速い仕掛けで相手を戸惑わせた。

 このサッカーを弱い相手にもやろうとしたから、うまくいかなかった部分があった。しかしW杯本大会では世界強豪との戦いになる。攻撃的守備は、相手が強くなるほどはまる可能性が高い。

 今後の課題として、最前線の選手も含め、1人1人の守備能力を高めることだ。全員が同じ意識で戦えば、世界は今までのように高い壁ではなくなるかもしれない。(日刊スポーツ評論家)