今回のカタール大会は10人の指揮官が選手としてW杯に出場した経験を持つ。前回18年ロシア大会で史上3人目となる「選手&監督」でW杯優勝を果たしたフランスのデシャン監督は引き続き指揮し、史上3チーム目の連覇を目指す。

その他、今大会の優勝候補とされるチームにも選手時代に実績を残した監督がそろう。スペインのルイスエンリケ監督は94年大会から3大会連続出場。イングランドのサウスゲート監督は98、02年大会と2度の出場経験を持つ。今大会の最年少指揮官、アルゼンチンの44歳スカロニ監督も06年大会でピッチに立った。

アフリカ勢は、同大陸の出場枠が5に拡大した98年大会以降、初めて全チームの監督が自国出身者となり、そのうち3人が選手としてW杯を経験。セネガルのシセ監督は同国の初出場だった02年大会で主将として8強進出の原動力になった。ガーナのアッド監督も06年大会に初出場で1次リーグ突破に貢献。アフリカの選手で最多タイとなる4度出場のカメルーンのソング監督は今年3月に就任した。選手でW杯を経験した指導者が台頭し、自国を率いるケースが増えている。

過去21回のW杯で優勝したチームは、いずれも自国出身の監督が指揮しており、「外国籍監督に率いられたチームは優勝できない」という有名なジンクスがある。「名選手、名監督にあらず」とは言われるが、W杯を選手として経験した監督でなければ、W杯を掲げることができないようになるのだろうか。【石川秀和】