2日のオマーン戦で黒星スタートしていた日本が、2戦目で中国から今最終予選初勝利を飾った。元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(57)は、最終予選で初先発したMF久保建英(20=マジョルカ)のプレーに日本の収穫を見いだしたという。

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東京五輪が終わって1カ月ほどで、久保の印象が大きく変わった。これまでは強引にドリブルで仕掛け、周囲のチャンスをつぶす場面も目立ったが、この中国戦を見る限り、久保自身が持つ選択肢、視野が広がったと感じた。ドリブルという武器を持ち合わせた上で、チームが勝つため、得点するために、状況に応じてプレーできるようになった。

ポストに当たった前半のようなシュートはもちろん、後半の大迫への前方へのスルーパスや、ドリブルから遠藤に通したマイナスのラストパスなど、内容は多種多彩。従来はどちらかと言えば、緩急の「急」が目立った久保が「緩」をうまく使えるようになった。20歳で肩の力を抜いたプレーができている。欧州で、東京五輪で、代表で学び、成長したなと思う。

FW大迫のゴールを生んだMF伊東には、改めて成長を感じた。あの場面は前方にまだスペースがあったものの、大迫がゴール前に抜け出せると判断して即座にクロスを送った。点を取るため、大迫を生かすために逆算したもの。伊東のプレーを昨年から振り返ってみると、大迫を常に見ているから、シンプルなプレーが意外に多い。自分ではなく、大迫。その基準が伊東にあるからこそのゴールだった。(日刊スポーツ評論家)