<アジア大会・サッカー:日本1-3イラク>◇男子1次リーグD組◇17日◇韓国・仁川

 2戦2敗の宿敵に、また負けた。U-21(21歳以下)日本代表がイラクに敗戦。「イラクのメッシ」の異名を取るMFフマム・タリク(18)に先制点を献上し、20歳のA・アリが後半に2得点。MF中島翔哉(20=東京)の一時同点弾もむなしく、半年後に始まるリオデジャネイロ五輪予選のライバルに敗れた。勝てば決まっていた決勝トーナメント進出は21日のネパール戦に持ち越し。同組のもう1試合はクウェートがネパールを5-0で下し、1勝1敗とした。

 手倉森ジャパンが天敵イラクに3連敗を喫した。前半12分、最も警戒していたフマムに、いきなりやられた。相手の右クロスをDF室屋がクリアにいったが、膝に当たって甘くなる。ゴール正面にこぼれたところを右足ボレーで突き刺された。一時は同点としたが、後半に突き放される。3分に再び右クロスに対する室屋のマークが甘くなり、A・アリに決められた。27分には、またもA・アリだ。昨年のアジア年間最優秀ユース選手に左足で直接FKを決められ、万事休した。

 アギーレジャパンと同じ4-3-3システムで入ったが、守備のミスで3点を献上し、攻撃陣も試合終盤の決定機をことごとく外した。金森のクロスバー直撃シュートや、中島が抜け出した2度の決定機で仕留め切れず「決めたか決められなかったかで勝負が分かれた。外したヤツには『しっかり覚えとけ』と言った」と手倉森誠監督(46)は振り返った。

 「同世代」に返り討ちされた。イラクは23歳以下+オーバーエージ3枠を使ってきたが、得点者は18歳のフマムと20歳のA・アリ。日本と同じ21歳以下に限れば11人中10人が、13年のU-20W杯4強メンバーで、この世代のアジア最強国には1度も勝てていない。苦手意識をぬぐえなかった。

 この事実は今後に重くのしかかる。アジア大会は、半年後の来年3月に始まるリオデジャネイロ五輪予選と同じセントラル方式。従来のホームアンドアウェーに比べ一発勝負の色が強く、このクラスにミスを重ねれば命取りになるのは明らか。手倉森監督が「失点はすべて与えたもの。クリアが甘いとああなるし、クロス対応がJリーグと同じでは防げないことが勉強になった」と話したことを修正できなければ、五輪予選も同じように苦戦する。

 それでも「遠藤のアンカー起用など可能性を感じたし、決勝Tでイラクに借りを返す準備はできた」と指揮官。シュート数が4対18と圧倒された1月の対戦時より「仕掛けられた」と同14対12本に盛り返した。まずは1次リーグ最終戦のネパール戦で決勝T切符をつかみ、イラクと再戦する日まで勝ち続けるしかない。【木下淳】

 ◆日本の1次リーグ突破条件

 日本は次のネパール戦に勝てば、1次L突破が決まる。日本がネパールを下し、クウェートがイラクに勝つと3チームが2勝1敗で並ぶ。この場合は、当該3チームの対戦成績は1勝1敗となるため、3チーム間の直接対決の得失点差で決勝トーナメントに進出する2チームを決める。日本はクウェート、イラクとの2試合を終え、得失点差がプラス1となっている。一方、日本戦での得失点差はクウェートがマイナス3、イラクはプラス2のため、第3戦で直接対戦する両チームがともに日本のプラス1を上回る可能性はない。