森保ジャパン、メダル獲得に王手! アジア大会に参加しているサッカーU-21(21歳以下)日本代表は準々決勝で同サウジアラビア代表に2-1で競り勝ち、4強進出を決めた。MF岩崎悠人(20=京都サンガFC)が2得点の活躍でチームをけん引し、森保一監督(50)の期待に応えた。次戦は中1日で29日にUAEと対戦する。

点取り屋・岩崎が覚醒した。まずは前半31分。自陣からカウンターで攻め込むと、ゴール正面で前田が落としたボールに走り込む。迷わず右足を振り切り、鮮やかなミドルシュートを左上に決めた。1-1で迎えた後半28分には、またも前田との連係で、左からの低く速いクロスに右足をコンパクトに振ってボールをミート。ゴール左上へ、値千金の決勝点となった。「(前田)大然君を信じて走りました」と控えめに話した。

大会5戦目で初めての東京オリンピック(五輪)世代同士の一戦、負けるわけにはいかなかった。岩崎は少年時代から健脚で鳴らしたチーム随一のスタミナ自慢。序盤から前田とともに前線からプレスに走り回り、相手の武器であるロングフィードの出どころをつぶし、守備でも貢献した。酷暑の連戦で「さすがに疲れはあります」と、額の汗を拭いながら笑った。

サウジアラビアとは16年10月にU-19アジア選手権で対戦し、押し込まれながらPK戦の末に辛勝した。岩崎は当時、エースFW小川(ジュビロ磐田)に次ぐセカンドストライカーだったが「小川君のスペースを作るためにおとりの動きばかりしていた」。チームへの犠牲心が強いあまり、ゴールへの積極性を失っていた。京都橘高時代はエースとしてチームをけん引したが、J2京都では豊富な運動量を誇るがゆえにサイドやウイングバックで起用されることも。ゴール感覚は少しずつ薄れかけていた。

今季のテーマは自分からゴールに向かって攻めること。この日もボールを奪われる場面もあったが、立ち向かうのをやめなかった。森保監督は「もっともっと仕掛ける姿勢を彼には要求していた。彼の良さを、彼自身が分かってほしい」。U-23パキスタン戦に続く2得点。いまは自分の長所に胸を張れる。

東京五輪を目指す中で、岩崎のポジションは今大会に参加していないMF堂安(フローニンゲン)FW久保(横浜F・マリノス)らライバルひしめく激戦区だ。生き残りをかけ、まずはA代表を兼任する指揮官に決定力の高さを印象づけた。「これに満足せずに、優勝を狙いたい」。謙虚な言葉の端々に、自信がみなぎった。【岡崎悠利】