日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(62)が、3カ月ぶっ通しで国内組を視察し、6月に始まる18年W杯ロシア大会アジア2次予選に向けた選手選考を進める。日本協会幹部が14日、新監督が6月の予選開始まで1度もフランスに戻らず、Jリーグ視察を続ける意向であることを明かした。13日の正式契約からW杯2次予選開始までわずか3カ月。この日は東京-横浜戦(味スタ)でJリーグを初視察した。

 新監督の「フットボールへの情熱」が表れていた。日本協会幹部が「ハリルホジッチ監督は『欧州組はある程度把握しているから、Jリーグを見たい』と話していた。フランスには戻ることなく、W杯予選が始まる6月まで視察すると思う」と明かした。

 14年W杯ブラジル大会に日本を導いたザッケローニ元監督の場合、10年8月末に契約を結び、同9月の代表合宿を視察した後、就労ビザ取得などの雑務のため1度イタリアに戻った。ハリルホジッチ監督は就労ビザの取得も済んでいるだけに、国内組視察に集中できる環境が整っている。

 13日の就任会見でも「時間はない」と話していたように、この日から国内組の視察を開始した。味の素スタジアムに試合開始1時間前に到着すると、横浜のモンバエルツ監督らと歓談。試合中はペンを片手に集中し、特には身ぶり手ぶりで選手の動きを確認した。

 試合後には「昨日までは映像を見てきて、今日は直接見られたので、少し違う部分も見えた」と収穫を強調。「前半はまあまあだったが、後半は少しリズムが出てきた。ゴールがなかったのは残念だけど」と試合の印象を語ったが、周囲には「守備面が見られてよかった」とも話したという。

 27日のチュニジア戦(大銀ド)、31日のウズベキスタン戦(味スタ)の親善試合2試合を控え、19日に代表選手を発表する予定だけに「次の試合に向けたリストをつくるので、スタッフに協力してもらい、全部の試合を見ていく」と意気込んだ。

 新生ハリルジャパンのスタッフを集め、15、16日には立て続けにミーティングを開く予定。13日に来日したばかりで、この日は試合中に時差ぼけの影響からか、あくびをする場面もあったが、休日返上で仕事に打ち込むことになる。

 親交のある元日本代表監督のオシム氏から学んだという「フットボールへの情熱」。「(日本人の)クオリティーは高いので、もう少し力強さを見せてくれれば、より高みを目指せる」と前向きに話した指揮官は自身に妥協を許さず、日本復活へのタクトを振る。【菅家大輔】