12月9日に開幕する男子の東アジアE-1選手権(味スタ)の日本代表メンバーが29日、東京・JFAハウスで発表された。国内組だけで臨む大会で、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は20年東京五輪世代のDF初瀬亮(20=G大阪)ら5人を初招集。追放していた鹿島FW金崎も復帰させた。一方で立場はA代表の“候補の候補”だと強調。来年のW杯ロシア大会に向けたラストチャンスでの下克上に期待を寄せた。大会は旧東アジア杯。

 

 国内組の最終テストに新顔が並んだ。最年少20歳の初瀬は、97年以降に生まれた東京五輪世代ではA代表に一番乗り。ハリルホジッチ監督は「右足も左足も蹴れて、キックの質もいい」と高く評価し、続けてリオ五輪世代の鹿島MF三竿、柏FW伊東も抜てき。三竿評は「力強くボールが奪えて、奪った後のファーストパスも面白い」。伊東に関しても「スピードで違いを生み出せる」と注目した。

 復帰組では金崎が昨年6月以来、約1年半ぶりに名を連ねた。同8月、鹿島の試合中に石井監督(当時)と衝突。ハリルホジッチ監督から「代表にふさわしくない」と追放されていたが「不適切な行動は過去のこと。もう私は忘れたし、許して前進しなければならない。最近の出来は文句のつけようがない」と、みそぎは済んだとして解禁した。

 ただ、勘違いはさせたくない。国際Aマッチ経験ゼロの8人をはじめ、23人中20人が出場1桁台だ。指揮官は「A代表に立候補する機会」との言葉で“B代表”と位置付け、競争を促した。経験の浅い今回の選手は候補の候補でしかない。「最後の直線に入る前のテスト」とレースに例え、食らいついた男だけを来年3月のフルメンバーでの国際親善試合に生き残らせる。

 「目標は優勝であるべき」とも宣言した上で、国内組の中からリーダー候補も探す。「クラブW杯に進んだ浦和勢、けがした(山口)蛍を除けばベストメンバーだが、中盤で声を出せる選手がいない。長谷部が負傷でW杯に出られないかもしれないし、誰が代わりになれるか、この大会で主将を務められるのか見極めたい」。ピッチ内外で存在感を示した選手が、13年大会の柿谷や山口のように翌年のW杯へ進む。【木下淳】