ドルトムントのMF香川真司(28)が23日、キリンビール神戸工場の操業20周年を記念したイベント、キリンサッカーフィールドに参加した。

 22日夕にブンデスリーガの冬季休暇を利用して帰国したばかりだが、241人の応募から招待された36人の少年少女を前に、鬼ごっこから息が上がるほどの全力プレーを披露。「少しの時間ですが、何かを感じて将来いつか世界に羽ばたいてくれたら」とエールを送った。

 香川とスタッフの2人だけで児童ら10人と対決したミニゲームは、まさかの4戦全敗。全員抜きのドリブルなど世界クラスの技術は見せたものの、リーグ戦2連勝で17-18年シーズンの前半戦を締めくくったクラブとは対照的な結果となった。「(勝負の)打ち合わせをミスッた」と冗談を飛ばしながら「こういう日もあるし、自分は小さいころ何度も試合で負けて、そのたびに悔しさから『もっとサッカーしたい』と思ってきた」と、はい上がってきた経験を口にした。

 今回のキリンサッカーフィールドは、兵庫県の顧客への感謝の気持ちを込めて開催された。その中で神戸市出身の香川がトークショーを行い「地元に恩返ししたかったし、きょう参加してくれたみんなも、夢を与える側の人間になってほしい」。日本代表の10番を背負ってW杯に出場するなど夢を実現してきた立場から「夢を持つことの大切さ」を伝える場を提供した。 質問コーナーでは、女子児童から尊敬する選手を聞かれ「カズ選手。51歳にして、なお厳しい姿勢でトレーニングに取り組んでいる」と返答。その後すぐ「反対に尊敬している選手は」と逆質問した。「香川選手」-。そんな答えに期待したのだが…

 女子児童「なでしこジャパンの中島依美選手(INAC神戸)です!」

 香川「そうやな、女子やからな。じゃあ男子は? 日本人じゃなくても世界の中から選んでいいから」

 女子児童「原口元気選手(ヘルタ)です!」

 同じドイツ組で、公私ともに仲のいい後輩に後れを取り「本人に伝えておきますよ…。もっと頑張ります」と笑いを誘う場面もあった。

 GKをしているという初年からは「今までで一番すごかったGKは?」と聞かれ「ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)が世界NO・1かな。ただ、今はけがしているので。その意味では、マンチェスター・ユナイテッド時代に一緒にやってたデヘアも素晴らしいGK」と答えた。

 最後は子供たちの夢が書き込まれた「ドリームノート」に36人分1冊ずつサインし、全員と記念撮影。約2時間のイベントを終え「キラキラした目だったり、こういった活動をするたびに子供たちからパワーと刺激をもらっている。半年後のW杯(ロシア大会)をいい形で迎えられるよう、やっていきたい」。11月の欧州遠征メンバーから外れたが、子供たちに伝えた「壁や試練を乗り越えて」という言葉を自らにも言い聞かせ「目の前のことに全力を尽くしたい」と気持ちを新たにした。

 主催者を代表してキリンビール神戸工場長の後藤一義氏(52)もあいさつ。「日本がW杯への出場を初めて決めた97年に、この地へ移転してきた縁がありますし、来年はキリングループがサッカー日本代表をサポートし始めてから40周年。W杯で優勝を目指してほしいですし、今日のイベントに参加した子供たちも夢を持って将来、日本代表としてここに戻ってきてくれれば」と期待を込めていた。