バヒド・ハリルホジッチ監督(65)率いる日本が、ワールドカップ(W杯)出場を逃したウクライナに敗れた。本大会で当たるポーランドを想定した東欧の実力国との一戦。前半41分にDF槙野智章(30=浦和)の得点で1-1に追いついたが、後半に勝ち越された。5月14日のW杯予備登録(35人)前最後の代表活動は1分け1敗で終了。W杯に臨む23人のメンバーは同30日のガーナ戦を経て31日にも発表する見通しだ。

 負けず嫌いのハリルホジッチ監督が、1-2での敗戦を前向きに受け入れた。相手は格上だが、W杯に出場しないウクライナ。諦めたわけではないだろうが「ポジティブなものも見られた。ドローに限りなく近いゲーム。(11月に0-1で敗れた)ベルギー戦と少し似ている」と総括。前日には「私は慢性的に不満を抱えている。常に勝利に飢えているからだ」と言っていたが、別人のようだった。

 4日前、同じ会場で引き分けがやっとだったマリ戦から良化した部分はあった。中盤のMF長谷部を筆頭にボール奪取の出足、統一感はあった。前半は何度かいい形を作った。ただW杯まで3カ月を切っても、いまだ攻撃に有効な手だてはない。「決定力の課題は世界中のどのチームも抱えている。相手はカンボジアやシンガポールではない。そんなに多くの決定機は作れない。これでも多い方。相手より多かった。得点を取るのは、どのチームも重要なテーマだが(日本に)メッシ、ロナルドはいない」。ないものねだりするしかなかった。

 唯一ともいえる頼みの綱、セットプレーという飛び道具でようやく得点したが、もはや、頼みはこの一手。必死に守りFKかPKで点を取るくらいしか、形はない。1次リーグ突破を「偉業」と位置付ける指揮官の現実的な“弱者のサッカー”に上積みは見られなかった。

 これで、W杯予備登録前最後の活動が終わった。メンバー絞り込みへ「非常にデリケートな判断を下さないと。今現在、難しい状況の選手もいるが、23人はまだ決まっていない、自問しながら決めていきたい」と言った。首脳陣は欧州に残り、海外組視察を続ける。35人の締め切りは5月14日。クラブでの活動を見極めるが、メンバー選考同様チーム状態も不透明なままだ。【八反誠】