サッカー日本代表MF香川真司(29=ドルトムント)が心配を吹き飛ばす。今日30日の国際親善試合ガーナ戦(日産ス)は、3トップの左で途中出場が濃厚。序列が1番手ではなく選考の当落線上とみられている中、騒ぐ周囲の見方にとらわれず、ワールドカップ・ロシア大会(6月14日開幕)メンバーに生き残る。最終登録23人は明日31日午後4時から発表される。

 病み上がりの香川が、ぶり返しなく合宿9日間を完走した。非公開練習では、主力組に2本目で合流した模様。1トップの左下を主戦場に、途中出場を想定して最終調整した。運命のサバイバル戦へ「非常にいい準備ができた。ゴールに直結するプレーを見せられれば」と泰然自若の構えだ。

 2月の左足首負傷から完全復帰。帰国後もオフなしで自主トレし、昨年10月以来7カ月ぶりに背番号10が帰ってきた。西野監督から「けがから復帰した」1人として見極めポイントに挙げられるが「状態はいい」と強調。1・5列目の新ポジションも追い風になる。プロになったセレッソ大阪時代から慣れ親しみ、3-4-3陣形は所属のドルトムントも一時採用。世界レベルの攻防で得た「経験、知識、アイデアを還元したい」とイメージは膨らむ一方だ。

 それでも周囲は騒ぐ。序列が1番手ではないため「香川はメンバーに入るのか」と。胸中を問われると「逆にどう思います?」と逆質問。その笑顔は自信にあふれ「問題ない。見方は自由だし、集中すべきは自分なので」と結果で示す。

 会場は日産ス。10年9月4日のパラグアイ戦を思い出す。W杯南アフリカ大会のメンバーから外れた後、最初の代表戦。そこで決めた得点が、香川が挙げた日本代表のMF史上最多29得点のうち、ベストゴールだと思っている。現代表で最後に出場し、得点も決めたのも日産スでのハイチ戦。相性のいい舞台で「外れるか外れないかは先のこと。今はチーム」。あくまで目標は6月19日のW杯初戦コロンビア戦だ。けが明けだからこそ、状態は上向く余地しかない。日本の10番だ。当落を心配されるほど落ちぶれていない。【木下淳】